「京都の平熱」を読んだ [読書]
「京都の平熱」鷲田清一 講談社刊を読んだ。たいへん面白かった。講演を聴きに行ったセンターのことも少しだけ書かれていた。鷲田清一は京都の出身だったんですね。河原町のジュリーも出てきたし、女装の前衛芸術家も出てきた。そればかりではなく、いろんな「三奇人」のことも書かれていた。女装の前衛芸術家が下鴨の住人であったことや河原町のジュリーがすでに亡くなっていることも知った。しかも京都には至る所に三奇人がいたようなのである。都市の猥雑さ、京都人の歴史知らずや新しもの好きとか、読んでいて自分が鷲田清一になったような錯覚を覚えてしまった。当時の（70年代当時）都市伝説のようなエピソードも出てくる。もちろんそれ以上に思わず傍線を引きたくなる箇所も随所にあった。いくつか引用しようかと思ったがあまりにもたくさんあるので断念。年齢を見るとこの人はほとんど同世代の人だった。私もブログに京都のことを少しだけ書いたけれども、内容的にはこの本の1ページにも満たないというか数行にも達しないレベルだ。講演の時と同じように語り口は柔らかい。京都人でありながら、京都人ではない影のようなものがある。大学の総長にまでなった哲学者ということで典型的なハイカルチャーの住人かと思っていたのだが、そうではないようだ。むしろ同じサブカルの住人だった臭いがする。その分、京都を語ってもいわゆる「玄人」の趣はない。世代的にそういう断絶があるのか、あるいは社会が少し身をずらしてしまったのか。いや、どうもそうではなくて鷲田清一自身がそういう世界からはじかれていたというか、疎外されていたのではないか。玄人さんはだいたいが自分を卑下するように語ってもその実、強烈に自己肯定的である。鷲田には京都を語りながら玄人とは正反対の傷のようなものを感じる。のっけから、「十何代続かないと京都人とは言えないというのは真っ赤な嘘である。」なんて書いてあって読んでいてほんとに楽しい本だった。
一度読んでみたいですね。かつて、鴨川のほとりに坐って川を眺めていると、知らない方が話しかけてきて、京都人といわれるためには最低100年は住んでいなければ、と言われたことを思い出しました。
by SilverMac (2008-04-19 08:38)
こんにちは。
面白いご本のようですね。
最後のくだり・・・miyataさんには面白くても、正真正銘の「京都人」と自負する人は、読んで楽しくないのでは(笑)
変わった世間からは浮いてしまう様な人々や、新しもの好きって、やはり田舎にはないものです。
by hana (2008-04-19 16:44)
SilverMacさん、おはようございます。
私も同じようなことを聞きました。だけど現実にはかなり少ないのではないかという気がします。滋賀や福井出身の人が多いという印象もあります。特に市内の銭湯は福井の方が多いそうです。
この本、お薦めですが団塊世代のカルチャー案内の面も併せ持っており、お口に合うかどうかはわかりません。
by miyata (2008-04-20 08:55)
hanaさん、おはようございます。
この本は面白いですよ。気が向けば読んで見てください。
まあ、京都人は奥ゆかしいですからさらりと受け流して「お茶漬けでもどうどす？」と言ってくれるのではないでしょうか（笑）。
田舎には変わった人がいないというのはわかるような気がします。そういう人はきっと田舎にはいられずに出て行くのでしょうね。
by miyata (2008-04-20 08:58)
中浜旅館、日曜はだめだって。
で、近所の鶴陽旅館(08514-6-0502)にしました。
by 練習菌 (2008-04-22 10:58)
菌さん、いただき物ありがとうございました。
それから、まだ最終結論は出ていないけどちょっと今年は無理っぽい感じになってきました。
by miyata (2008-04-22 12:52)
家内が独立してブログを始めました。宜しくお願いします。
by SilverMac (2008-04-27 07:11)
早速お越し頂きありがとうございました。
miyataさんは読書家ですね。私は新聞を読むのが精一杯です(;.;)
いろいろ勉強になります。
これからもよろしくお願いいたします。
by yakko (2008-04-27 08:03)
SilverMacさん、こんばんは。
ブログで拝見しまして、早速おじゃましております(^^ゞ
by miyata (2008-04-29 21:47)
yakkoさん、こんばんは。
読書家なんてとんでもないです。こちらこそよろしくお願いします。
by miyata (2008-04-29 21:49)