遅れたオリンピックの感想など

9月になった。ここ数日雨が続いていた。クーラーのやっかいになることもないような日が続いた。いつのまにあの暑い夏は退場したのだろうかと、残り香を追うように戯れにクーラーのスイッチを入れ、やはり今は必要がないというのを確認してスイッチを切る。なんとなく今年も夏とは遊べなかったなあという思いで久しぶりに晴れた今日洗濯物を干していた。しかし気温がぐんぐん上がり外に出ると汗が噴き出してくる。そうかまだ去ってはいなかったんだとわかって少し嬉しくもあった。

8月は暑かったし、オリンピック一色でなんだか息苦しい月だった。それでもオリンピックはよく見たし、興奮もした。ちょっとだけ感想を。
開会式はすごかった。北朝鮮のマスゲームどころではない。なんて貧しい比喩しか思いつかないが、なんとなくこれは閾値を超えたという感じがして、中国がそれをやってしまったことにやっぱりと思いつつ、期せずして開会式というイベントの自身の葬送まで突出して演出して見せたということに新鮮な驚きを禁じ得なかった。聖火への点火は象徴的だった。
勝手な感想では、最低最悪のアナウンサーと解説者として男子サッカーの第一戦を挙げたい。実況は誰がやったのか知らない。NHKを見ていた。解説者は山本という前五輪の代表監督だった。前半日本が消極的で簡単にボールを奪われたりしているのに、日本が試合をコントロールしているとか今のパスは素晴らしいというようなことしか言わなかった。あんまりひどいので音を消して見ていた。平泳ぎ100メートル北島へのインタビューもひどかった。これはもうレベル的に崩壊しているとしか思えない。柔道の解説をしていた篠原は面白かった。何度も笑った。
野球だが、星野は現役の時から嫌いだったので正直意地悪く見ていた。よく行く喫茶店の女将さんが星野の大ファンで、キューバに負けたときわざと最悪の予想を聞かせたところ、怒ってしまった。もちろん、そうはなって欲しくないとの願いも込めてだったのだが。実際にメダルも取れなかったのにはがっかりした。星野が嫌いだという理由は、体育会系の嫌な性格を感じるから。弱いものには強く、強いものには可愛がられる自己保身のうまさ。親分ぶり方etc。野村のぼやきの方がずっとまし。女子ソフトは予選リーグのアメリカ戦で上野を温存して負けたときメダルを確信したが、実際はそういう戦略だけで勝てるものではないというのを見せつけられて、手に汗握って興奮した。最後に勝った瞬間解説の前宇津木監督が「やった、やったー」と辺りはばからず号泣しながら叫んだときは思わず泣いた。女子サッカーもほんとに面白かった。
見た競技に全部感想があるが、収拾がつかないので最後に。
日本選手団の福田という副団長が五輪後の記者会見でサッカーや野球を暗に批判したが、これがなによりも一番つまらなかった。だいたいそういう体質の日本野球が国際式ベースボールで負け、またそこからきちんと離脱できずに中途半端に進歩的な指導者体制のサッカーが世界の壁にぶつかっているのにだ。さらに専門化に向けて加速させるのが役割だろうに引き戻してどうする。こういう人物が日本のスポーツ（体育）界を牛耳っているのだなとよくわかった。
それからスポーツ新聞などではすぐにハングリー精神がどうのこうのという風潮があるが、ほんとにハングリーだったらスポーツなんかしてないし、成績も出せるわけないじゃないか。いい加減まともに仕事しろよと言いたい、というのが短くはないけどだいたいの感想。

8月29日の妻の通院日。血中ナトリウム濃度が162と基準を超えたのでこの夏ついに点滴をした。いつもの看護師さんが、夏の間にこんなに点滴しなかったのは初めてで新記録だと妻に話しかける。それを聞いてなんだか妻も嬉しそうだった。妻が点滴をしている間ベッドの脇で、めずらしく看護師さんと親しく話をした。他愛もない話だったが彼女が今年50歳になるというのを聞いて正直驚いた。もっとうんと若いのかと思っていた。年齢を聞いて（私から聞いたのではない）まじまじと顔を見ると（おおぴっらにではない）、そうか、そう言われるとそうなのかもしれないなと思ったが、どうも最近女性がうんと若く見える。そういえば、最近近所の喫茶店で挨拶を交わすようになった「若くて可愛い」独身女性が40歳というのを知って椅子から腰がずり落ちるほど驚いた事を（わからないように）思い出した。20代の後半かと思っていたからだった。これはどうもおかしい。自分の中の基準がどんどん狂い始めているような気がする。いや、こういう事は書くつもりではなかった。看護師さんの事だった。
この看護師さん、妻の引き起こすいろんな事にかなりまいっている頃心療内科に行くように薦められて診察を受けたとき、「miyataさんやね。お久しぶり。元気になったんやねえ」と話しかけてきた看護師さんだった。聞けば手術の時妻を担当してくれていた人だった。その後ふた月ほど心療内科に通ったが、やめてしまった。それからしばらくして彼女は脳神経外科に変わってきたのだった。だからけっこう縁がある看護師さんなのだ。
その彼女に心療内科はどうして通うのを止めたのかと聞かれた。はっきり伝えて止めたわけではなく、なし崩し的に診察を受けなくなったのでちょっと引け目があった。彼女もそのことが少しは気になっていたのだということを知った。別に悪い先生ではなかったが、予約時間通りに行くのがなかなか難しい面があったのと、いろいろ薬を処方されたがそれらの薬の結果が思わしくなかったのが通うことを止めた原因だった。確かに薬によって夜は徘徊もせずに眠ったし、行動を制止しても興奮状態になって止められなくなるというのは無くなったが、意欲そのものもなくなった。結局心療内科で処方された薬は全部捨てて、通うのを止めた。聞かれて私は「薬が必要ないと思ったので」と答えると「miyataさんの今を見ているとそれで正解だったと思うわ。必要な患者さんもいるけど、みんな違うからね」と彼女は言った。妻は点滴中はいつも寝てしまうのだがこの時はずっと起きていて、話に加わった。上機嫌だった。ほとんど通じない話ばかりだったけど、彼女はしっかりと会話に参加している。
いつも不思議に思うのは、たとえば認知レベルのテストをすると（長谷川式）たいがい4点以下しかとれないし、話すことはとっぴだしやることはとんちんかんだが、こちらの言うことは全部ではないにしろ理解するし、なによりも彼女は以前と変わりない彼女の人格を保っているということだ。そのためにはもちろん妻も必死の努力をしているに違いない。前頭葉の広い範囲に梗塞を起こしていて、海馬と視床下部にもダメージを受けているのに。結局、今の状態こそ残る脳の機能を総動員して補完している最善の状況かもしれないと思ったりするこの頃である。

コメント 22

星野に対する評価は完全に一致します。家内にはメダルは取れない、と言っていました。私も一番感動したのはソフトボールです。
by SilverMac (2008-09-02 09:00) 

九月になったといっても昼間の残暑はまだ厳しいですよね〜。
まだまだホッとは出来ませんね(;.;)
オリンピックはよくご覧になっていたんですね。
うちはたまたまソフトボールのオーストラリア戦をみて感動し、引き続いて決勝戦、表彰式まで見ました。上野投手が素晴らしかったです。
その他の感想はmiyataさんに拍手です。
奥さまの体調が良さそうなので良かったです。
一生懸命頑張っておられますね。
検査結果だけでは分からない＋αがあるのだと思います。
miyataさんも夏の疲れが出ませんよう、ご自愛下さい。
by yakko (2008-09-02 09:23) 

私、絶叫型のアナウンサー大嫌いです。古館も出たときから嫌い。福沢某辺りからかな絶叫し出したの。だもんで、この夏のオリンピック、ほとんど見てないっす。よくテレビに向って、五月蝿い、って怒鳴りながら消してました。特に民放。歳のせいかも。。。
あと、柔道。タレント気取りの約一名、云いたい事は一杯あるけど自粛しておきます。石井某は面白いけど。
by yosh (2008-09-02 11:23) 

こんにちは。
今日は朝のうちはまだ雨が残り、この時間は曇っています。
今外を歩いてきたばかりですが、歩いてみるとやはり暑さを感じました。
湿気を帯びた嫌な感じが、身体にまとわりつくようです。

オリンピック・・・他の国の事なのに、どうしてあんなに大騒ぎを！と思うほどでしたね。
金メダルは、私もやはりソフトボールかと。
最後まで諦めずに粘りに粘った結果での事でしたから、余計に野球の方の駄目さが目立ってしまったのかしら。

ホッとして、今までの疲れや睡眠不足のつけが出てくる頃かと思います。
miyataさんも、奥様も、どうぞお体をご自愛下さいね。
by hana (2008-09-02 11:54) 

SilverMacさん、こんにちは。
星野が嫌いと言うのはこちらではけっこう勇気がいります。なにせ阪神の監督でしたから(;^_^A ｱｾｱｾ…まあ、野村の遺産だと思ってました。SilverMacさんがお嫌いとは知りませんでした。とても心強いです(^^ゞ
by miyata (2008-09-02 14:15) 

yakkoさん、こんにちは。
実はスポーツ観戦オタクなんですf(^ｰ^;
ソフトはすごかったですね。後でNHKのドキュメントも見ましたがこれも面白かったです。女房もよく頑張ってます。この夏を抜けると一緒にどこかに出かけられるのでは思っています。夏バテは暑いうちになってしまったので今は回復傾向です。ありがとうございます。
by miyata (2008-09-02 14:21) 

yoshさん、こんにちは。
絶叫といえば、ゴールを何連発もしたアナウンサーがいましたね。あの時はうるさいとテレビに怒鳴って音を消しました。今回のアナウンサーは絶叫はしなかったけどじつにつまらないというか、異様な感じの嘘つき実況でしたね。それに解説がひどかった。やっぱりNHKなんでしょうかね。民放と共同でやってるのでしょうかね。
柔道、ちょっと思い当たりませんけど誰でしょう。石井は頭がいい選手なんですね。ちょっと品がないのかな(;^_^A ｱｾｱｾ…
by miyata (2008-09-02 14:27) 

hanaさん、こんにちは。
今日はこちらでも蒸し暑くて汗がじっとりとへばりつくようです。
hanaさんも書いておられましたが、開会式はすごかったけどもういいやという感じにさせましたね。
北島の「なんもいえねえ」にも感動しましたし、陸上のリレーの銅と応援席での為末の涙もジンとくるものがありました。
星野にかんしては、単純に好き嫌いの上での評価だったのですが、NHKの特集を見て、なぜ星野が駄目だったのか根拠づけられるように思いました。星野ジャパンが目立ってしまったのは最初から星野にひたむきさと謙虚さが、選手や相手チーム、それにベースボールにリスペクトがなかったからでしょう。
by miyata (2008-09-02 14:38) 

ハングリー精神というより、どん欲さ、勝ちへの執念みたいなものを、男子のサッカー、野球には感じず、女子のソフト、サッカーにはそれを感じましたね。ＮＨＫでも解説などはこうなので民放はさらにひどかったですね。
開会式は良きも悪しきも含めて、やっぱり中国だな～と痛感しました。

心療内科、私も半ば薦められてかかりましたが、以降は医師や薬と合わなそうなのと、平日予約しかないのでかかってないですね・・・
by タケノコ (2008-09-02 21:59) 

奥様の調子が良好でよかったですねえ。
あれ、今日はオダーニの誕生日なの？
by 練習菌 (2008-09-02 22:25) 

「星野が嫌いだという理由は、体育会系の嫌な性格を感じるから。」

これわかります。私はコメンテイターとして星野氏には出てほしくないと常々おもっていました。

蛇足ですが日本の小中学校こういう感じの先生多いし、文化系の部が虐げられているのが残念に思います。
by ガーネット (2008-09-02 23:24) 

タケノコさん、こんばんは。
「勝ちへの執念」あれはなにが根っこにあるんでしょうかねえ。一昨日に北島がNHKに出ていましたが、自分のいいところが見せられたみたいなことを言っていました。案外そういうものかもしれないですね。ここから考えると男子サッカーはみんなレベルは低くないんだけど見せたい相手がいないような、密度の薄さとか関係の希薄さみたいなものを感じました。民放はあまり見ていないのですけど、芸人が出てきても一向にかまわないんですが、もっと突っ込んでこちらを啓蒙してよという感じで、そういうのがいないので見る気もしないです。

心療内科はタケノコさんご自身でしたね。タケノコさんは少しは回復してるのでしょうか。
by miyata (2008-09-03 01:41) 

練習菌さん、こんばんは。
ありがとうございます。今の安定状態が続いてくれたら、これに勝るものはないと思えるようになってきました。
小谷君の誕生日なんですか？それは全然知りませんでした。
by miyata (2008-09-03 01:46) 

ガーネットさん、こんばんは。
あれれ、ガーネットさんも(;^_^A ｱｾｱｾ…

小中学校の先生に多いとか、文化系の部が虐げられてるというのはガーネットさんの体験によるものでしょうか。私の小学校の時には特攻隊上がりで代用教員から教員になった先生というのがいて、すぐぶん殴られました。職員室でお酒飲んで授業もしていたし。今から思えばおおらかですね（笑）。殴られて腹が立ったけど、苛められたという意識は持たなかったので怖かったけどそれほど嫌いじゃなかったです。
by miyata (2008-09-03 01:52) 

９月に入り暑さがぶり返してきましたね。
オリンピックに限らず、スポーツは音を絞って見るように
しています。
アナウンサーの絶叫のせいですが、何とかならないんですかね。
by 左膳 (2008-09-03 09:10) 

奥様の病状をこれだけ理解していることがまずは素晴らしいです。今はよくなっていますが７７歳の姉の夫などは病名すら間違います
もっとも医師との交渉が娘になっているからですが
by なかなかない (2008-09-03 19:59) 

私もオリンピックは色々感じる事が有りました。
女子マラソンは最低だったし、私は星野も野村も好きでないね。
一番最後の男子マラソン、仙台人にはなじみの人が金メダル、
インタビューもキッチリ日本語で受けていたし、その方が感動
したね。

毎日みような天気で異常としか思えない毎日。
夏の盛りに寒くてヒーターを入れた日も有りましたよ。
今日は湿度85％雷と雨が。。。。気温26度蒸し暑い！
国会も異常日本中が異常あ～～～此れからどうなるのか～～。
正常なのはわ・た・し・だけ。笑

奥様落ち着いているようですね、漢方薬で『よくかんさん』
と云うのが有るそうですが、良いそうですよ。
ＮＨＫテレビで見ましたが、漢字をチョット忘れて。。。
うん、うん、私が飲んだほうが良さそうだね。
by tomoko (2008-09-03 21:10) 

左膳さん、こんばんは。
扱い方が嫌で見なくなった実況では男女のバレーがあります。見ていて辛くなります。サッカーですが、スペインとかの実況は絶叫ではないけれどすごいですね。殆ど喋りっぱなし。日本の場合、実況があまり中身をわかってないんじゃないかと思うことしばしばで、うっとうしいことが多いですね。何とかして欲しいけど、望み薄ですね。
by miyata (2008-09-04 23:48) 

なかなかないさん、こんばんは。
そうでもないんですよ。理解できないことの方が多いんです。人一人をわかるということがどれだけ困難なことか、いつも思い知らされます。
by miyata (2008-09-04 23:58) 

ともちゃん、こんばんは。
仙台の楽天なのに野村が嫌いとは不幸ですね。私も星野が阪神の監督だったときには不幸なファンの一人でした。そういえば、ずっと昔村山が監督だったときに阪神と不幸な出会いをしてしまったことを思い出しました。
ワンジルは東北弁を話さないので感心して聞いていました。関西弁べらべらの外国の人ってすごく違和感があります（笑）。
女子マラソンは最低だったという話はまた聞かせてください。

気温26度で蒸し暑いなんていってたら京都の夏は暮らせませんね。あんまり異常気象だなんて不安にならない方がいいですよ。気候なんて長生きしても100回くらいしか体験できないことだから。

抑肝散ですね。わが家では使ってないです。ともちゃん情報はためしてガッテンですね、きっと。新聞の番組紹介では「予防」って書いてあったんで、私は民放の芸能人の介護苦労話というのを見てました(^^ゞ
抑肝散のことは知識としては一応知っています。だけど飲んでません。なんか理由があったと思うけど忘れました。
一緒に飲みましょうかね（笑）。私は飲むんだったらフェルガードだな。
嫁さんは落ち着いてます。アルツハイマー病ってほんとに大変なんですね。どんどん進行していって寝たきりになってしまって。その点うちの嫁さんはまだ救われています。だけど、やはり進行するということは聞いていますので覚悟はしています。
by miyata (2008-09-05 00:29) 

こんにちわ
ご無沙汰してスイマセン
やっと　ＰＣと向き合う気持ちになりました。

オリンピック私は開会式しか見てないのですが
（実はオリンピック興味がないんです～ダメですね～）
初めて見た開会式　すごい！と感心してしまいました。
中国だから（ひどい偏見）という気持ちが少しありましたが
なんだかごめんなさいって思うぐらい心に残りました。

奥様は楽しく点滴が出来て？良かったです。
気持ちが落ちる所を楽しく出来るのは一番ですよね。

でもやっぱり脳っていろんな意味ですごいですよね・・・シミジミ


by tonton (2008-10-04 22:14) 

tontonさん、なにか大変だったのですね。だけど戻ってこられて安心しました。
北京オリンピックの開会式はほんとにすごかったですね。なにかを突き抜けたちょっと気持ち悪いような気さえしました。

脳は不思議ですよね。私の女房の場合の認知症はアルツハイマー型でもないし前方型でもレビーでもないし、かといってそれらの症状が全部出てくるのでいろいろ整理してみないとこんがらがります。一筋縄ではなかなかいきません。tontonさんのシミジミはよく理解できるように思います。
by miyata (2008-10-05 07:48)