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壊れていました [介護と日常]

思いがけず、日にちが開いてしまった。凶暴な暑さに加え両肩、両腕のまったく経験のない深刻な痛みでまともに日常生活すら送れない状態に陥りようやく今普段の自分に復帰しようとしているところだ。しつこい肩の痛みは昨年の引っ越しの後に始まった。右肩が上がらなくなり寝返りもできない日々が続いたが、それもこの夏に襲われた痛みに比べれば単なる序章だった。

6月に入った頃、肩の痛みをほとんど感じることもなくなり、ようやくしつこい痛みから脱することができるかと思われていた頃、ちょうど妻の体温を安定させるために常時冷房を始めた頃と重なる。兄が亡くなったあとしばらくして、突然五十肩と診断された時以上の痛みを覚えた。痛み故に腕全体が痺れてしまったようだった。妻の介護は左腕を最大限使うことでなんとかこなしていたが、7月の終わりには右肩の痛みが治まらないうちに今度は左肩に激しい痛みが出た。もう両腕とも前へならえなど不可能だった。マッサージ・整体・針・町医者にかかった。治療や施術をしてもらったときだけ楽にはなったが二日と保たなかった。まともに妻の介護はできなくなってしまっていた。ついにケアマネと往診医に泣きつかざるを得なかった。痛みが回復する間、治療に専念する間だけの妻の入院を頼んだ。医師はすぐに入院の申し込みをしてくれたがなかなかベッドの順番がこない。ケアマネは自動で体位変換するエアマットを導入し、午前に一回おむつ交換にヘルパーさんを入れる段取りを組んでくれた。娘は夏休みの一週間をすべて介護に当ててくれた。私はその間、冷房のない部屋で寝て、起きては痛みの原因を探るために総合病院に通った。だが、大病院の若くて優秀そうな医師は原因を探ろうとはするが痛みを和らげてくれない。検査中は何度か鎮痛剤を変えるだけであった。だが処方された鎮痛剤で治まるような痛みではなく、やがて肘が曲がらなくなり、手首は腫れて動かなくなり、ついには手のひらの痛みに加えて、5本の指を握ることはおろか曲げることもできなくなった。右手にギブスをしたが痛みには無効だった。娘の夏休みが終わろうとしていた。妻が入院する予定の病院からベッドが開いたという知らせもないまま、何度かのレントゲン検査に続いてMRIを撮った1週間後、私は病院で若い医師を向き合っていた。若い医師は診断がつかないと首をひねった。リュウマチではない。頸椎のヘルニアも影響がありそうだ。五十肩つまり肩関節周囲炎ならばその影響は肘まであり、手首、手のひら、指には影響しない。ヘルニア箇所がその指や手のひらに何らかの影響はありそうだが、手根管症候群も疑われる。右手にでていた症状は少し遅れて全部左腕にも出てきた。私は原因はどうあれこの痛みだけなんとかして欲しいと懇願したが医師の答えは歯切れが悪かった。「うーん、何がしてあげられるのか…。確かにこの病院に来るからには、何とかしてもらえるはずだという期待を持ってこられることは承知している。しかし、できないこともあるし診断がつかなければ具体的な治療はできない。薬を続けるくらいしかないんですよ」私は少しあわてるとともに、失望を禁じることができなかった。民間療法でも町医者でもその時楽になるくらいのことはしてくれたのに、この基幹病院ではやりようがないという。私は、関節への注射とか出来ないのかと聞くと言葉を濁す。この病院での治療を諦めた。慎重すぎる診断の進め方にこの病院と若い医師に救いようのない退廃の匂いを感じた。
だがこのまま元の治療や民間療法に戻るわけにはいかない。手術も含めて考えられる有効な治療はないかと水を向けた。「手術は最終的な治療としてあるが、頸椎のヘルニアも所見ではそこまでひどくないので勧められない」では、たとえばペインクリニックということを聞くがそれはどうか?「ペインクリニックはあれは麻酔医がやることで整形ではやらないし、またこの病院ではやってない。京都でやっているのは京大、府立医大、それに開業医で何軒かあるが、やってみるつもりなら紹介状は書く」
やっとこの医師から有効な手がかりを得ることが出来た。京大や府立医大で時間をとられるのはいやだから開業医を選んで推薦状を書いてもらうことにしてこの病院と別れを告げた。料金の計算を待っている間に紹介状を書いてもらった病院に電話をかけ、翌日に受診することになった。
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hana2013

miyataさん、こんにちは。
壊れていました・・・のタイトルから、またお気持ちの方がと思ってしまいましたが。。
パソコンに向き合う、今回の記事が書けるまでに回復をされたと言う事のようですので、ひとまず安心いたしました。

それにしても大変でしたね。
自分でも経験しているからわかるつもりながら、人は痛みには弱いものです。
続く身体の痛みや、不調にはつい気持ちの方まで弱ってしまうもの。
大たい骨・骨頭、骨折の時はそうでした。

カッコの悪さから自分の日記には書いていないのですが・・・私も今春、旅先の岩手で不注意により転んで、肋骨を3本、手首と指を骨折しました。
痛みはそれ程ではないものの、それでも不自由さを感じて…それでなくても一般の方に比べたらずっと不自由であると言うのに。。

でも良かった!って、少しも良くはないけれど・・・
ご自身の近況をお知らせしてくださった。こうして更新をしてくださったのが嬉しくてなりません。
季節の変わり目は、体調もこわし易いものです。
どうか、お大事にしてください。
by hana2013 (2013-09-13 15:11) 

ほんのり

大変な夏を過ごされたのですね。
今年の夏は本当に厳しい上に、腕の痛みが重なればどんなに苦しかった事でしょう。

明日は1週間早めですが、父の3回忌です。
もう2年たったのかと思うと同時にまだ2年?と言う感じもします。

奥様の介護もあるし、ご自身の身体の不調もあって、辛くて不自由な毎日とお察しいたします。
どうぞ、痛みが早く取れますよう祈っております。
by ほんのり (2013-09-13 18:38) 

yakko

こんばんは。
想像を絶する痛みと闘ってらしたんですね〜
もっと早くペインクリニックを紹介していただきたかったですね。
奥様のことも心配だし、この夏は過酷でしたね。
どうぞ くれぐれもお大事になさってください。
by yakko (2013-09-13 19:26) 

Silvermac

私も頸椎の痛み、脊柱管狭窄症と二つの痛みに苦しんでいます。
頸椎はヘルニアで左腕に強烈な痛みがあり、睡眠剤無しでは寝られません。両足太もも外側の痛みは歩行時には必ず生じています。病気の中でも痛みを伴うものは決定的な治療法がないようです。
 次の病院で治療法が見つかると良いですね。
by Silvermac (2013-09-13 19:56) 

練習菌

腫れるというのは神経じゃないですねえ。痛風とか?
早く元気になって、飲みに行きましょう~
明日は亀岡でマスターズです~
by 練習菌 (2013-09-14 05:30) 

miyata

hanaさん、こんにちは。今までコメントのお返しもせずにすみませんでした。おかげさまで、ようやくようやく引っ越し前の状態に心身共に近づいてきた感じです。妻の三度目の脳出血に続く引っ越しのどたばたは私の体力・気力の限界を超えていたようです。
それにしても、hanaさんも大変だったのですね。今は回復されているのでしょうか。読んで思わず身震いしました。辛かったでしょうに。怪我はほんとに消耗します。お大事になさってください。
by miyata (2013-09-15 10:52) 

miyata

ほんのりさん、こんにちは。
コメントののお返しもせずにすみませんでした。
お父様の三回忌…。もうそんなになるのですね。
私の方は痛みはようやく取れてきて、やっとまともな生活に復帰できそうな気配です。
ほんのりさんもまだいろんなご苦労が続いているとお察しします。お互いあまり無理をしたりカリカリせずに、のんびりほっこり過ごしたいものですね。
by miyata (2013-09-15 10:56) 

miyata

yakkoさん、こんにちは。いつもコメントをいただきありがとうございます。いやあもうたまらなかったです。ぎっくり腰とかは、動かないでいるときは痛みを減じることは出来るのですが、今回は24時間ずっと痛いままだったので、それは初めての経験でした。
痛みを解消するために、回り道をしなくてはいけないのはほんとに嫌でした。でも、自分はそこにたどり着けたのでよかったです。
by miyata (2013-09-15 11:00) 

miyata

Silvermacさん、こんにちは。
いつもご心配いただきありがとうございます。
Silvermacさんも同じ痛みを抱えていらっしゃるとは…。ペインクリニックの治療はすでに取り組まれているのかもしれませんが、私にはとても有効でした。まだ治療を継続中ですが継続している限り痛みから解放されているので、気持ち全部が上向きになってきているのを感じます。よい治療が見つかると良いですね。
by miyata (2013-09-15 11:05) 

miyata

練習菌さん、こんにちは。
いやあ、引っ越し以来ずっと心身共に低調を越えた絶不調だったのですが(妻の様態悪化が一番のショックでした)ここにきてようやく回復基調です。季節が良くなると、もっと良くなる気もします。また行きたいですね。
そうそう、痛風はありませんでした。大病院で治療中に腫れてきたので医師も少しあわてていましたけどね。リュウマチもなしでした。糖尿病性末梢神経症も疑われていましたね。それはまだ結論は出ていません。
by miyata (2013-09-15 11:10) 

練習菌

その後どうなりました?
by 練習菌 (2013-09-23 11:39) 

タケノコ

miyataさん、お久しぶりです。しばらく更新がなかったので、心配しておりましたが、ご自身もかなりの症状、痛みに苦しまれていたのですね。
ペインクリニックは妻の通う大学病院にも専門の科ができているようで、実際どんな施しを行うのかは、私は未知ですが、原因究明もさることながら、ともかく痛みを「だまし」ではなく、取り除けるのなら・・・・

基幹病院ではない、開業医、町医者でもいいところにめぐりあえるといいですね。
by タケノコ (2013-09-23 22:25) 

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