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よいお年を [介護と日常]

京都は朝から雪が降り始め、もう一面真っ白な雪景色になっています。
昨年の大晦日も寒い日でした。粉雪が舞っていました。
夜看護婦さんに促されて病院から帰ったことを思い出します。
妻が子供に笑顔で応えた日でもありました。
なんだかあっという間の一年でした。
ふり返ってみると自分が処理しきれない一年間でした。
やり過ごすことも引き受けることも、拒否も肯定もできない自分にただ向き合っているだけで過ぎていく日々でした。
ひとつ発見したことがあります。
そんな時でも、溢れる言葉に満たされているということでした。
日常の言葉であり、堅苦しい言葉であり、嘆きの言葉であり、喜び、冗談、刺すような言葉、あらゆる言葉に満たされながら自分の下降をとどめることはできませんでした。
もう一人の私がどこかでなにかの身振りを振る舞っているのではなく、それが私そのものでした。

ある日の深夜のことです。
妻が目覚めているのではないかという気配に眠りから覚めました。
はたして妻は目を見開いて闇の向こうを凝視していました。
声をかけると身じろぎもせずにこうつぶやいたのです。「くも膜下出血…私のくも膜下出血どうなった?」
瞬間、私は感電したような衝撃を受けました。私や子供達が規定してきた時間以外の時間を妻は確実にたしかに繋いでいたのです。

妻はよく「ありがとう」というようになりました。
私がときに「礼や感謝が欲しいわけじゃない。そんなのは余計だし邪魔だ」とこたえると、妻はクスッと笑います。
なんとなく二人はうまくいっているような気がします。

新しい年までもう12時間を切りました。私は今しばらくこういう時間が必要なようです。
でもそれほど遠くない時期にきっと会いにいきます。

みなさん、よいお年を!
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