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2009年 雑記事始め [介護と日常]

年が明けました。今年もよろしくお願いします。

年末年始のこと。
大晦日は、何十年ぶりかで紅白を炬燵に座って見た。その前には晦日そばを食べた。
除夜の鐘を聞きながら、慌てて妻をお風呂に入れてそれから家族みんながお風呂に入ってから、お屠蘇で新年を迎えた。土佐鶴の新酒をいただいていたのでそれをお燗にして飲んだ。
妻は顔が真っ赤になるくらいお猪口でお酒を何杯も飲んだ。テレビで朝まで生テレビが始まった頃、妻はベッドで。私と娘は炬燵の中で寝た。

元日の朝。お節とお雑煮を食べながら家でゴロゴロと時間を過ごし、午後三時過ぎになって妻とぶらっと表に散歩に出た。夕食もお節と雑煮と少しのお酒。ちなみに雑煮は具だくさんのすまし雑煮。息子は夕食後仕事場に行く。穏やかな元日だった。

二日。朝はお節に雑煮。息子は彼女の家に挨拶に出かけた。昼食は娘と三人でお節に白味噌雑煮。娘は夜バスで東京に遊びに行く予定。夕方、一緒に行く友人が時間つぶしにわが家にやってくる。なかなか魅力的な美人だった。以前会社にいた男が、辞めて以来もう十数年になるが毎年年始の挨拶にやってくる。彼は東京で会社を経営しているのだが実家が京都にあるので帰省のついでに大学の恩師や先輩への挨拶をすましてから最後にわが家にやってくるのだ。律儀なのか人なつっこいのか未だに良くわからない男だ。わが家では倒れる前の女房を含めて人気者だ。お節を肴に酒盛りが始まった。話すこともやっぱり未だに良くわからない。去年はサッカーの話だった。その前は地域活性化の話だったような記憶がある。サッカーは大学のサッカー部出身であり仕事でも関わっているらしいので話題として出るのはまだ理解できるが、今年はとつぜん泉鏡花が彼の主題だった。なにが言いたいのかほとんど理解できない。途中でお前は文化人になりたいのか文学を語りたいのかどっちなんだと嫌みを言いはじめところで私は終了したようだ。

三日。少し二日酔いの感じで目が冷めた。台所を見ると一升瓶が二本。ワインが二本、ビールが6缶並べてあった。あまり記憶がない。娘は東京に出かけていない。妻を起こして朝ご飯の準備をしていると息子が起きてきた。昨夜のうちに帰っていたらしい。彼女の家から生駒の地酒をもらってきたということで、また少しお酒を飲む。土佐の酒はさっぱりしているが生駒の酒は甘かった。お昼頃から妻と散歩に出かけ、珈琲を飲んだり無くなった洗剤を求めたりと簡単な買い物をして、夕食には水炊きをしていったんお節から離れる。息子は食事の後、仕事場に行き妻と二人で時間を過ごす。ボクシングを見たり、たけしの番組を見たり、妻を入浴させたりしながら夜は更けていき、三が日は終わった。

正月の間ブログを時々巡回しながら新年の挨拶を書き込んだりしていたが、Mさんのブログで指名されているのを発見して驚く。慌ててリンク先のブログを何度も読んだのだが、ごめんなさい。私もどう理解して良いのかわからなかった。いろんなレベルのことをごった煮にして書いているので、良くわからない。というか私にとってとても苦手なタイプで、どの記事を読んでも最初の印象から逃れられない。使命感を持って活動している人の嫌な面が立ち上がってくる、なんだか典型の側に近い人の印象しか持てない。システムや制度の中で自分の「良心」を訴える善意の人だろうが、とても勘違いの落差が大きな人だと思う。それにちょっと度し難い傲慢さも。出会いたくない人。
「良い支援」なんてものはなく個々にとって「望む支援」だけがあり、もちろん「良い医療」なんてのもあるわけもなく個々にとって「藪医者か普通の医者、それにすぐれた医者」がいるだけだ。
とりあえず、今私たちに出来ることといえば必要の度合いに従って怠りなく今の制度に分けいり「望む介護・医療・支援」を最大享受できる方法を見出すしかない。その時々で社会化する問題に突き当たると思うがそれはまた別の次元でということになるのではないだろうか。
※Mさん、「侃侃」届きました。どうもありがとうございました。走行中の車の火災記事を読んで驚きました。無事でなによりです。

四日。朝と昼食を兼ねて白味噌雑煮を食べお節を片付ける。夕食は年末に送ってもらった魚の干ものなどを焼いて、残ったなますや数の子を添えてあっさりとすませる。なんだかほっとすると息子は言ってから夕食後また仕事場に出かけた。
夜の八時過ぎ、寺の住職をしている友人から久しぶりに電話がかかってくる。何事かと思ったが今夜吉本隆明の特番があるという知らせだった。
十時前、炬燵で横になっていた妻に「吉本隆明さんがテレビに出るらしいから、その前にトイレをすませておこうか」と声をかけた。素直に炬燵から出たのは良かったのだが、トイレに入ってすぐに出てきて「ちょっとトイレに行ってくる」というのが始まった。もう一カ所のトイレに連れて行くがまたすぐに出てきてトイレに行くという。実はこれは良くあるパターン。トイレをする仕方がわからなくなるのだ。
もう十時は過ぎて番組は始まっていたが妻はトイレに行くと言ってはトイレから出てきて押し入れや三階の納戸を開けたりして落ち着かない。こういう巡り合わせかなと半分諦めた頃、ようやくトイレ騒動は収まった。

吉本隆明の講演を聴く機会は何度もあったはずだが一度も聴いたことがない。以前にいた会社で86年頃講演会を企画したことがあった(提案は私だった)。都合で交渉は別の人物が行った。実は会うのが怖かったというのが真相である。企画した本人が行くのが筋だろうとずいぶん責められたが、都合良く?指定されたその日は外せない用事があった。ちょうどその頃社内分社のような形で会社の外に出ていたので、自分が行けない理由は十分にあった。講演の日も私はほかの仕事でいけなかった。映像で見る吉本隆明はこれで二度目になる。以前三好十郎の特集で短い時間だったが出ているのを見た。つっかかりながら繰り返し繰り返し言葉を折り重ねていく話し方がとても印象的だった。
この放送についてはすでにMさんの感動的な記事があげられている。南無さんの短い記事も心に響くものがあった。ほかに付け加える感想はない。

が、二三書いておきたくなった。
吉本隆明を初めて読んだのは高校二年の時だった。吉本隆明全著作集13「政治思想評論集」を兄からもらった。注文していた書店の手違いで二冊配達されていたうちの一冊だった。兄から返品しようと思っていたがちょっと早いかもしれないけど読んでみたらと渡された。まっさらな本を土産に高知に帰った。喫煙と、ある事件を起こして退寮処分となり停学中だった。家で夢中になって読んでいると父がその本を見て「戦争責任を追及した奴だな。あれは納得できなかった」と言ってギョッとしたことをはっきり覚えている。高等小学校しか出ていなくて、普段オール讀物くらいしか読まない父親の口からそんな言葉が出てくるなんて思いも寄らなかった。この本は漫画以外で読了後に自分の名前を記した初めての本となった。

全共闘世代の教祖とか、下の世代が団塊の世代と吉本をひとくくりにして揶揄したりするのをたまに見かけるが私の印象はちょっと違っている。吉本は団塊世代や全共闘世代にはそんなに読まれていなかったのではないか。むしろ68年から70年当時広範な影響力を持っていたのはベ平連という運動体であり小田実や鶴見俊輔だったのではないかという印象がある。吉本は当時の全共闘運動のことを思想的にも別にたいした運動じゃないと否定していた記憶の方が鮮明だ。ところが鶴見との対談では鶴見は逆のことを言っている(記憶によれば)。学生と話をしているとまるで吉本と論争しているようだと。

ある詩人のブログを読んでいると、団塊の世代の蔵書のことが書いてあった。団塊世代の蔵書はまったく値がつかないのだそうだ。団塊の世代しか読まない吉本隆明を中心とした思想書や社会科学系の本ばかりで、人口が多いわりに価値観が画一化していて同じ本が大量にあって希少価値もないとずいぶん意地悪な事が書いてあった。これはほんとうだろうか。古書店主との話ということだったので、売れないというのは(古書店が仕入れない)事実かも知れないが、私の頃の大学進学率は20パーセントを越えたくらいだったはずでしかもそういう本を買って読んでいたのは一割もいなかったのではないか。
※気になっていまちょっと簡単に計算してみると、たしかにかなりの部数になるような気がする。やはり古本屋では売れないのかもしれない(苦笑)。だけどそんなことをことさら書かなくてもそれだけ今も昔も市場が狭いということであって、それはそのまま団塊の世代も含めた市場における自分の本の売れ行きにも関わっていると思うのだが。骨董好きらしいこの詩人、高麗白磁と李朝白磁の盃の写真が載った記事を読んでいると、横から写真を見た息子が「贋作は完璧な姿をしているが本物はどこか欠けている」と言った。誰の言葉か知らないがこの感想をちょっと伝えたい誘惑にかられる。ま、本物であることを祈る。

結婚を間近に控えた頃、試行の定期購読を止めた。お金がなかったというのが一番の理由だった。結婚をして住所も変わり、長女が生まれて一段落した頃、読みたい作品があってバックナンバーの問い合わせをした。するとすぐにはがきが帰ってきて、あなたは以前どこそこの住所で定期購読をしてくれていたmiyataさんではないか。残念だがその連載が掲載されている号はすでに在庫がない。必要なら国会図書館に毎号寄贈しているので複写できるはずだというようなことが書いてあった。これは奥さんの字だろうかと思いながら机の上に置き、なんだかそのとき自分がとても恥ずかしく、知らせてくれたお礼の返事すら書けなかった。後年になって勤めていた会社で講演会を催したときに吉本が会社の役員に請われて残していった色紙を後で見て、ああ、あの時はがきを書いて送ってくれたのは吉本隆明本人だったんだということを知った。

今日は妻の年明け最初の通院日。おとなしく出かけてくれるといいのだが。いや、きっと大丈夫だろう。
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コメント 20

yakko

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
穏やかな年始で良かったですね。
三が日はだいぶ酒量が増えたようでしたね。
徐々に落としていきましょう (^。^)
平穏無事をお祈りしております。
by yakko (2009-01-06 10:05) 

左膳

流石高知の出身ですね、拙者も少しアルコールが飲めたらよかったと
何だか人生の半分を損した気持です。
by 左膳 (2009-01-06 13:43) 

tonton

あけましておめでとうございます。

3日間充実し穏やかなお正月を迎えられたようでよかったです。
やや記憶がなくなった時の後の酒瓶の量にはいつも驚きます ^^;

今日は奥様の通院日~
実はうちも通院日でした。


今年もどうぞよろしくお願いします。
by tonton (2009-01-06 14:55) 

hana

こんにちは。
本当に、毎日沢山のお酒を飲まれたご様子。穏やかな新年を送られましたね。
私も人のことは言えません。
明日、体重を量るのが恐ろしいです。きっと3キロはふえているのでは?

吉本隆明の本は読んだことがありません。難しくて読めませんでした。
勿論、小田実や鶴見峻輔も。
小田実のベストセラーとなった「何でも見てやろう」は、一時バイブルのように多くの人に支持されました。
私もこの一冊だけは読んだかと思います。
しかし今の大学生、小田実=おだまことと呼ぶ事さえ知らないでしょうね。
by hana (2009-01-06 15:04) 

SilverMac

先ずは平穏なお正月で良かったですね。新左翼の教祖で吉本ばななさんの父親ですね。
by SilverMac (2009-01-06 16:53) 

タケノコ

年末に比べますと、三が日は穏やかなお正月で、酒量も増えたようですね。うちは義父は全く飲めないので、屠蘇すら交わしたことないので・・・
実家に帰らないとここまで飲む機会も減りましたね。
吉本隆明さんは、前にも書いたかと思いますが、ばななさんのお父さんという世代です^^;小田実さんは↑のhanaさんの書かれているものなど数冊読んだことがありますが。
by タケノコ (2009-01-06 21:53) 

miyata

yakkoさん、こんばんは。
こちらこそよろしくお願いします。
正月はほんとにのんびりしました。
体重が、一気に増えましたf(^ー^;
お酒もけっこう飲みましたね。これがいけなかったようです。
by miyata (2009-01-07 01:29) 

miyata

左膳さん、こんばんは。
二日のお酒は、さすがに来客に負けました。
ほんの三年前くらいまでは、いつも私の前で潰れていたんですけどねえ。
今年はさっさとほっぱらかして、先に寝ちゃったようです。
by miyata (2009-01-07 01:32) 

miyata

tontonさん、こんばんは。
お酒ですが、昔は自慢じゃないですが(自慢してますが(^^ゞ)ほんとによく飲みました。飲み始めると半端じゃなかったです。普段アルコール類は口にしませんから、飲む時にはフレッシュだし、もともと飲めるからでしょう。一升や二升はへっちゃらでした。ですが、今はいけません。どこかにブレーキが利いてるようです。ですから、ほとんどは来客が飲んだんでしょうね。以前はそいつは格下で、まあ私にとっては小結くらいの評価だったんですが、今は私は幕下になったようです。

通院日どうでしたか?我が家は入院して体調が整った時以来の結果でしたよ(^^)v
by miyata (2009-01-07 01:42) 

miyata

hanaさん、こんばんは。
私、三キロ以上も太ってました(__;)
糖尿病の身で、これはちとやりすぎました。反省してます。
吉本はもっとも長く読み継いできたただ一人の人です。
小田実や鶴見俊輔を逆にほとんど読んだことがありませんでした。小田実はまったく読んだことがありません。
鶴見俊輔は何年か前にちょっと再発見することがあってこの年になって何冊か読んだくらいです。
今の若い人ってよくわからないのですが、番組を見ているとずいぶん若い人が多くて驚きました。予想では私前後の人が大半かなと思ったのですが。
by miyata (2009-01-07 02:06) 

miyata

SilverMacさん、こんばんは。
おかげさまで、今年の正月はほんとにゆっくり出来ました。
吉本隆明は新左翼も含めて左翼をもっとも激しく批判した人なのですが、それが教祖といわれるとは不思議なものです。
by miyata (2009-01-07 02:11) 

Allora

miyataさんの文章力ってすごいなと思います。
僕なんかこんないっぱい書けないし、吉本隆明も読んだ事ないし。

無手勝流で生きてきて、負けるが勝ちよと思ってみたり、いや負けるもんかと思ってみたり。魚座の特徴である矛盾を体現した聖俗入り乱れていまして・・・

とにもかくにも、おだやかな日々が続きますように念じています。
by Allora (2009-01-07 23:00) 

すず音

新年明けましておめでとうございます。
本年も更新遅れておりますがよろしくお付き合いください。
「正月」にさしての感動や実感を持たなくなって何年になるだろうと。
年を重ねると心の襞も重くなってくるものなのか。
子供だった頃はただ何となくワクワクするものがあったような気がします。
今年も両親のことがあるせいか、気が重い感があってすっきりしません。
その殆どを病院に任せっぱなしのくせに、自分ひとりで担っているような
気持ちになってしまいます。いけませんねえ
新しい年を無事に迎えられただけでも本当は感謝なんですが。
今年も重い感じで始まりましたが又よろしくお付き合い頂きたいと思います
by すず音 (2009-01-08 08:02) 

kuri_cat

私σ(=^‥^=)もブログ巡りをしていると、時々ヤバイと思われる思想の持ち主のページに入っちゃったりして怖いです。だから知ってる人のページにしか行かないように極力気をつけています。ポリポリ(^・ ・^*)ゞ
でも、気になっちゃった人(観点がちょっとズレてる同業者)もいるので『生ぬるい目』で見守ってます。( ̄w ̄)ぷ
そういった点ではブログは面白いのかもしれませんね。
by kuri_cat (2009-01-08 11:28) 

miyata

Alloraさん、こんばんは。
文章力ですか。だめなんですよ、私は。それはわかってるんです。吉本さんの言葉でいえば「沈黙」をくぐってないというか、向き合えてないんです。
もっと要点を簡潔にとは心がけるのですが、いったん書き始めると不安になって周辺を彷徨いながら書きたいことにたどり着けない。読む人にとっては実に迷惑な長文だと思ってますm(__)m

無手勝流で生きられるって、すごいなと思います。Alloraさんのブログには、語らない、あえて文章化しない沈黙を感じます。
by miyata (2009-01-08 23:26) 

miyata

すず音さん、こんばんは。
今年もよろしくお願いします。
すず音さんは細腕じゃないですよね。ご両親とお子さんをたった一人で支えているんですから。私も見習います。
すず音さんの状況だと、お正月だって喜んでる方が変だと思います。
by miyata (2009-01-09 00:47) 

miyata

kuriさん、こんばんは。
私のブログもそうとう警戒されたんじゃないでしょうか(笑)。
あんまりブログ散策をすることはないのですが、たまにはずいぶん時間を使ってさまよう時もあります(苦笑)。だけどこういう時に爽快感を味わったことがほとんどありません。これはなぜなんでしょうね。自分がブログを書いていていうのは変なのですけど。今は少数の方のところを巡回するだけでかなり満足しています(^^)v
by miyata (2009-01-09 00:57) 

うしさん

読書量の少ない私には、理解できない部分は多々ありますが
こんなに書けるmiyataさんがうらやましい
by うしさん (2009-01-09 23:41) 

miyata

うしさん、こんにちは。
たぶん、うしさんが理解できないところは私にも理解できずに書いているような気もします(;^_^A アセアセ…
私には五行に凝縮させられるうしさんがうらやましいです。
by miyata (2009-01-12 13:33) 

miyata

タケノコさん、こんばんは。レスが漏れていてすみませんでした。
私は確かに書いて投稿したのですが、反映されていないのに気がつきました。操作ミスかもしれません。どうもすみませんでした。
hanaさんのところでも書きましたが小田実は一冊も読んでいないのです。振り返るとかなり偏ってますね。鶴見俊輔さんはご自宅に二度ほどお伺いしたことがあります。吉本隆明には会わないで鶴見俊輔には会いに行ったというのは、ほとんど読んだことがなくてこちらが過剰になる気持ちがなかったせいでしょう。
by miyata (2009-01-13 04:24) 

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