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左膳さんを悼む [介護と日常]

左膳さんの最後のブログ記事が更新されたのは四月の終わり頃だった。五月の中旬を過ぎた辺りで少し気になり始めた。お互いよく行くブログにも左膳さんの足跡が消えた。ご機嫌伺いのコメントをブログに二度ほど書いたが返答はなかった。左膳さんに何かが起こっているだろうとは思った。そうこうするうちに左膳さんの友人が、左膳さんに連絡が取れないが何か知らないかというようなコメントを左膳さんも良く訪れていたブログで見て胸が騒いだ。
これは神戸まで行くべきだなと思い始めた頃、姪御さんから訃報の知らせが届いた。
その後間をおかずにだるまさんの記事で様子を知ることができた。病気の再発ではなくて癌が原因で亡くなられたということだった。

左膳さんとは面識はなかった。神戸まで様子を見に行くべきかと思うことがすでに踏み込みすぎたおせっかいかもしれないと思ったりもしていた。

残された左膳さんのブログを何度も読み返しながら、自分の意志では変えようがない現実に対する絶望と、その現実をなんとか開こうとする左膳さんの姿を見つけて、自分の中途半端な関わり方を悔いた。
脳内出血で片麻痺となり、日常生活の介助が必要だった左膳さんを支えていたのは認知症が進む年老いた母親だった。その母親にすこしでも社会的な交流の機会をと介護サービスを受けさせるのだが、その記事を読んで涙を止められなかった。
この記事が書かれた時にどうして泣けなかったのかなあ。その時に泣いたからといって何かが変わったわけでもないだろうがと書いて、いやきっと何かが変わったはずで変わりたくなかった自分を認めたくないだけだと思いなおす。きっと、絶望的な現実になんとか風穴を開こうとする左膳さんの姿に出会えたはずだった。
そんなこちらの関わり方を左膳さんはきっと見抜いていたんだろう。

残されたお母さんのことなど、心残りだったろうと思う。
冥福を祈るしかない。

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SilverMac

ブログでの交流でも長年の知己のように感じる方がいます。存在が消えると気になりますね。と言って踏み込めない気持ちも分かります。
by SilverMac (2009-06-29 16:41) 

うしさん

なによりもご本人がもっともっと生きたかったでしょうに
ご冥福をお祈りいたします 。お気づきになられて、ここで知らせてくださったこと感謝いたします。
私は明日は大学の恩師88歳の葬儀ですが
次の専門学校の校長の在職や各連盟の長としてお弟子さんのおまいりがきっと2000人にはなるとおもいます。

お供えへは辞退なさっています
遠いこと
あまりにも名残惜しいこと
そっと遠くからご冥福を祈りたいと思うのです。

こんな気持ちは初めてです

by うしさん (2009-06-29 18:41) 

hana2009

おはようございます。

そうでしたね。私の日記に対しても、何時も真っ先にコメントしてくださっていたのに・・・それが4月中旬過ぎ頃まででした。
それから、ご自身はお身体の状況の為にどこへもお出かけできないままでいらしたのに・・・・・
私の書くお気楽日記に対して、嫌味な言葉を書かれたことも一度もありませんでした。
そこが彼の大らかさだと、私も甘えていたところがありました。

私もmiyataさん同様にあまり個人的な領域まで踏み込む事に対して抵抗があり、ただ見守っていただけ、そうし過ぎたことに後悔がないといったら嘘になります。
以前に何度かのやりとりはありましたので住所・電話番号は、私も存じておりました。
だからと言って、ここ数年のネット上のみの関係です。
その前に、もちろん左膳さんではありませんが、ある嫌な行き違いを経験した私は、もう少し、もう少しとの思いがあったことは否めません。

しかし、これは彼自身がご自分の最後として選ばれた道ではないかと思うのです。
体内での変化も感じられていたことでしょうし、入院されるにあたって我々に連絡を取ることだってお出来になった。
でもそうされなかったのは、そっと私達の前から消えていく道を選ばれたためかなぁと私は思っております。
それにしても、あまりにも突然の早すぎた死でした。
あまり口にはされませんでしたけれど、まだ50代の若さでこうなってしまったご自分のお身体の状態に、相当苦しまれていたのではないでしょうか。

今は痛みも苦しみもない世界で、きっとお幸せに過ごされていると、私は信じております。
by hana2009 (2009-06-30 08:18) 

miyata

SilverMacさん、おはようございます。
まるで突然死のようでした。ずっと体調の悪さを抱えていたに違いありません。昨年からまるで記憶に止めるように外に出て写真を記事にアップしていたのがサインだったのかもしれません。
by miyata (2009-06-30 08:41) 

miyata

うしさん、おはようございます。
もっと生きていたいという思いは、もうこれ以上生きていられないという気持ちに対応していたように思えます。そこまで踏まえるべきでした。
by miyata (2009-06-30 08:51) 

miyata

hanaさん、おはようございます。
>ご自分の最後として選ばれた道ではないかと思うのです。
彼のブログを読み直していて、直接ではないにしろなんどもそういう意思を表明していたことに気がつきました。
ただ、入院された時はおそらくブログで入院を表明する間もなく病院に運ばれたのだと思います。入院した時はすぐに帰れると思っていたのかもしれません。
いろいろ書いては消したりしてこのコメントを書いています。左膳さんの死は重たいです。
by miyata (2009-06-30 10:23) 

yakko

こんにちは。
左膳さんを存じ上げませんが、ご冥福をお祈りいたします。
ブログの交流って不思議ですね〜
コメントを通して少しずつ距離が縮まっていくような気がします。
miyataさんとは直接お目にかかったのでもっと近くに思えます。
だからブログに間が開くと心配になります。
気温差が大きく気候不順の折、ご自愛下さいね。
by yakko (2009-06-30 17:06) 

うしさん

人の不安。今しがた1歳半年下の弟から電話がかかりました。そうだんにのってくれ!
「便が少ない」
「細いの」
「うん カメラもバリューム検査もした。異常なかった ものすごく検査が痛かった」
緩下剤かゆでた菜っ葉で調整するという。何も心配はないではないか。とおもいましたが。
不安だったこと、痛かったことほっとしたこと全部聞いてほしかったのですね。
by うしさん (2009-06-30 18:58) 

タケノコ

左膳さんは、介護等のお知り合いのブログにコメントされているのは拝見しておりましたが、直接はお互いのブログにコメントしたりというのはなかったのですが、ほかの方のブログでも安否が気遣われておりましたね。
謹んで、ご冥福をお祈りします。
ブログを途中で前触れもなく停めたり、辞めたりされる方は多々いらっしゃるかと思いますが、その背景にはいろいろありましょうし、立ち入って確認できないこともありますしね。
私も、妻が病気で倒れた際に、参考としたサイトの方が、ずっと更新されなくなったので、気になっているのですが、連絡のすべもないのが現状です。
by タケノコ (2009-06-30 21:36) 

miyata

yakkoさん、こんばんは。
そうですよね。誰にでもではないのですが、だんだんそう感じる方はいらっしゃいます。もちろん勝手な思いこみもあるのでしょうけど。
左膳さんは、歳も同じで血液型も同じ。神戸の方で阪神ファンという共通項以上になにか感じるものがありました。わたしは近いうちにこの方とはきっと会うことになるだろうと思いこんでいました。

>だからブログに間が開くと心配になります。
どうもありがとうございます。それにすみませんでしたm(__)m
記事をそろそろ書こうと思った矢先に左膳さんの訃報を受け取ってちょっと落ち込んでおりました。
by miyata (2009-06-30 22:56) 

miyata

うしさん、こんばんは。
ははは、弟さんにとってはお母さんがわりだったんですね。だけど何事もなくて良かったです。
話を聞いてくれるだけでも、晴れ間が見えることというのは確かにあると実感するようになりました。
by miyata (2009-06-30 22:59) 

miyata

タケノコさん、こんばんは。
左膳さんはそうですね。だるまさん経由のhanaさんブログ繋がりで訪問いただいたと思います。私自身、自分から訪問をしていくのがちょっと苦手なものでせっかくブログをやっているのにお付き合いの広がりをもてないのですが、訪問いただくととても嬉しいからほんとは繋がりと広がりを求めてはいるのだと知ることにもなりました。左膳さんはタケノコさんも含めてそういうことを教えてくれた数少ない読者の一人でした。
左膳さんがいろんな背景を抱えながらも訪問してくれたことをもう一度よく考えて、私も半歩だけでも今の蛸壺から出なければと思います。
by miyata (2009-06-30 23:32) 

miyata

ponchiさん、niceありがとうございます。
by miyata (2009-07-01 10:10) 

Allora

左膳さんの死、ショックです。
他の方のブログへのコメントや、ご自身のブログの写真と短めの文章から、独特の世界観を持った方と拝察していました。
小生と同年代そして同じ車いす生活者でもあり・・・残念です。
左膳さんのご冥福を祈ると共に、残された認知症のお母さんも安寧に生活されることを祈るのみです。
by Allora (2009-07-04 18:30) 

miyata

Alloraさん、こんにちは。
左膳さんが亡くなっていたのはほんとにショックです。あまり多くのことを語らない人の声こそ聞き取るようにということができなかった自分に匕首を突きつけられたような思いです。
by miyata (2009-07-05 17:22) 

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