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ショック [介護と日常]

今日、ショックを受けたことがあった。
事の発端は、ここ数年漢字が読めても書けないという症状がいよいよ危険水域に来たという自覚から紙に字を書く習慣を復活させようと思ったこと。
長らく使っていない愛用の筆記具を出して来たもののインクが無くなっており、夕方6時過ぎに娘が家に顔を出したからその合間に下駄履きに自転車という出で立ちで河原町の丸善に行った。人で溢れる河原町は歩いても15分の所にあるのだが久しく行っていなかった。
木屋町から上がり、丸善ビルの南側に自転車を置き丸善ビルの前に立って呆然とした。

え?無い・・。無い!  丸善が消えていた・・・。

一瞬、方向感覚を失ったような目眩を感じて周囲を見渡したが確かに丸善があった場所であることを確認し、体中の力が抜けた。
別に京都丸善に格別の思い入れもない。が、まるで浦島太郎のような感覚を味わい得も言われぬ感慨であった。
ポーの「群衆の人」だったかを突然思い出しながらかつて丸善があったビル前の歩道のガードレールに腰を下ろしてしばし道行く人々を眺めていた。

家に帰り、久しぶりに一家四人揃った夕食をそそくさと終え、大河ドラマを見ながら檸檬はやはりあの棚で爆発したのかもしれないなどと妄想に駆られている自分に気がついた。


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コメント 21

練習菌

京都の河原町店が撤退とは…‥・
うちの職場の近所にも在ったんですが、閉店してしまいました。
姫路にも店舗が在ったのですが、調べたらもう無くなっているようです。
実りの無い枝はどんどん切っていく世の中になったのですねえ。
ヤレヤレ ┐(´-`)┌ マイッタネ
by 練習菌 (2006-06-05 01:35) 

honnoridesu

おはようございます。
浦島太郎になってしまわれたのですね。
便利な世の中になったように思いますが、心がどんどん失われて行くような感じがします。

先日、確か九州の方の町だと思ったけど、ニュースで町の商店街を「昭和の商店街」のようにして、乗り物もミゼット?三輪自動車をレンタルして走り廻っている。と言うような町おこしをしているのを見ました。
その時も「いいな~~~♪」と思ったのですが、今日のmiyataさんの記事を読んで、又改めて行ってみたい!と思いました。
by honnoridesu (2006-06-05 05:34) 

Silvermac

丸善、なくなりましたか。私も何度か訪れたことがあります。外国製筆記具の部品が揃っていて便利だったのに。
by Silvermac (2006-06-05 06:06) 

班長

私の近所も少しずつ変わって行きます。
気が付いたら昔遊んだ公園は無かった、記憶の中の町並みも
変わって行くんですね。
by 班長 (2006-06-05 06:35) 

シマリス

自転車で丸善までお買い物・・・羨ましい環境です。
でも今はなくなってしまったとのこと、全国的にどこもそうなのでしょうが、アメリカ型に車で郊外にお買い物が便利の世の中になってしまっているのですね。

私、E・A・ポーの本は読んだことが無くて。
檸檬はやはりあの棚で爆発したのかもしれないなどと妄想に駆られている自分に気がついた。の記述部分が理解できません。
幼稚な質問でお許し下さいませ。
by シマリス (2006-06-05 19:11) 

丸善さんここでも撤退ですか。。。商売厳しいのでしょうかね。
結婚する前に住んでいたところでも店の移り変わりがあって、後輩の話を聞いても、それどこって?感じですね。実家の方はなおさらです・・・
しばらく行かないと街の中はめまぐるしく変わりますよね。河原町でもそうなのですか。。。
by (2006-06-05 21:37) 

miyata

練習菌さん、こんばんは。
丸善は姫路にもあったんですね。
実らない枝を切っていった後に接ぎ木された枝には、破滅の果実がなるかもしれないですよ。河原町で長い間会社員生活をしていた私にとって今の河原町は異界です。
by miyata (2006-06-06 00:47) 

miyata

ほんのりさん、こんばんは。
そうなんです。浦島太郎になっちゃったんです(ノヘ;)シクシク..

私はねえ、それほど懐古趣味は無いんですけど、連続性といいましょうか、そういうものが寸断されてしまったりすると、とても不安になります。
by miyata (2006-06-06 00:52) 

miyata

SilverMacさん、こんばんは。
丸善の文具売り場は充実していました。万年筆のペン先を調整してくれたり、オリジナルの原稿用紙を作ってくれたりとか。
前に行った時には閉店したことが信じられないほど賑わっていたのですが・・・。
残念です。
by miyata (2006-06-06 00:59) 

miyata

班長さん、こんばんは。
私が生まれ育った田舎は、まるで変わってしまいました。
別の町のようです。でも変わらない(厳密には変化しているのでしょうけど)ものがあります。それは方言です。
by miyata (2006-06-06 01:14) 

miyata

シマリスさん、こんばんは。
梶井基次郎という早逝した作家がいます。
その初期作品の中に「檸檬」という作品がありまして、まあ解説するのも憚られるような有名な作品です。その作品の中で主人公は美術本の棚に檸檬を置いてくるのです。
ここからは曖昧な記憶なんですが「黄金色に輝く恐ろしい爆弾をしかけてきた」という妄想を抱くんです。「十分後には美術本棚から爆発が起き、気詰まりな丸善がこっぱ微塵になる」んだったらどんなに愉快だろうと考えるんです。
これは丸善そのものに対する敵意とかそういうものではなく、作家自身の病気に冒され死に傾斜していく自らの生に巣食う憂鬱を若者らしい感性で乗り越えようとしたものだろうと・・・(汗)。あの、この辺りの解説は信じないでくださいね(^◇^;)

で、私はその時に置かれた檸檬は結局爆発せずに長い年月を経て誰の目にも触れることなくずっと丸善の棚に残っていたのではなかろうかと。それが河原町(京都のあるいは日本の)の風景が臨界を越えて変貌を遂げた時、不意に爆発したのではないかと。
なんだか歴史とか政治とか経済とか文化とかごちゃごちゃ考えましたが、まあそんな風な妄想を抱えてしまったというわけでございます。
お粗末でした。すみませんm(__)m
by miyata (2006-06-06 01:35) 

miyata

タケノコさん、こんばんは。
河原町は変わっちゃいましたねえ。驚きました。
若者を意識してるんでしょうが、昔から若者の町でもあったんです、京都は。
それが、何とも貧相な、品のないエンタメ系のストリートに変身してしまいました。
これは若者のせいじゃないですね。京都の資本かどうか知りませんが、だれかがそういうプロモートしてるんでしょ、きっと。またすぐに駄目になりますよ、10年も持たないでしょ、今のままでは。
by miyata (2006-06-06 01:43) 

シマリス

檸檬・・・で私も、梶井基次郎を思いましたが、小説の内容はすっかり忘れていました。
教科書に載っていた作者の顔は、内容と反してかなりのインパクトがあり、忘れられません。
檸檬に感化されて、もう一冊くらい読んだようなのですが、あまりにも以前すぎて・・・
関係ありませんが、中勘助の「銀のスプーン」は覚えています。
by シマリス (2006-06-06 08:59) 

miyata

シマリスさん、おはようございます。
近頃、記憶はまだら模様です(笑)。ほとんど忘れていたかと思うと突然内容まで思い出してしまったりします。若い頃は誰でもでしょうけど記憶は良かったです。気に入った小説の箇所など平気で1ページくらい諳んじることが出来る時もありました。
中勘助の「銀のスプーン」、全然思い出せません(T.T)。
by miyata (2006-06-06 09:12) 

シマリス

失礼!「銀のスプーン」は「銀の匙」の間違いです。
by シマリス (2006-06-06 12:01) 

machiko

こんばんわ。
仙台もどんどん町並みが変わっていきます。
去年私がお店をやっていた所は、とても古い額縁屋さんの一角を借りていたのですが、もうすっかり壊されて跡形もありません…
古いものはなくなっていきます。
ところでちりめん山椒、私もいただきました。
おいしかったです~!!
もうすっかり「主夫」ですね♪
by machiko (2006-06-06 22:05) 

miyata

シマリスさん、こんばんは。
やっぱり銀の匙、私は読んでないようです。
梶井基次郎、確かに書かれたものと本人の顔とはかなりの落差がありますね(笑)。あの人は自分で書いたものより、友人に話す内容がすごかったようですよ。話してしまうと消えてしまうからそれを原稿用紙に書けと言われていつも笑っていたそうです。あの檸檬の舞台は京都で書かれていた丸善は京都の丸善なのです。私が京都に来たときは檸檬を買った寺町の八百屋がありまして、兄の友人から教えてもらったことがあります。
by miyata (2006-06-07 00:31) 

miyata

まっちゃん、こんばんは。
古いものが新しくなっていくことにはそれほど違和感はないけど、やっぱりその方向性だよねえ。
ちりめん山椒はね、やっぱり使った山椒が悪かった。丹波から送ってきた山椒の実は素晴らしい香り。また出来たら送ります。我が家は特に薄味だから、ちょっと物足りなかったかもしれません。今度は別鍋にして作りますよ。

>もうすっかり「主夫」ですね♪
なんの、まだわずか二年の駆け出しでございます。10年後には割烹着の似合う「主夫」になって見せるぜ〜。
by miyata (2006-06-07 00:39) 

まだまだ万年筆大好き
でも歌を忘れそうで今は蓋ナシノック式万年筆を使っています
by (2006-06-09 19:47) 

miyata

なかなかないさん、こんばんは。
万年筆、随分長い間使いませんでした。
久しぶりに書いてみると、やはりいいですね。
蓋無しノック万年筆は良さそうですね。ちょっと欲しくなったりしました。
by miyata (2006-06-10 03:13) 

練習菌

そうか、あの万年筆だったのか。
フゥ ( ー_ー)旦~
地下鉄五条から、某所へ向かうのに、車を避けて町中の狭い道を通ったのですが、
いろいろなお店がありました。小さいながらもそれぞれ歴史の重みみたいなのが
あって、京都は独特だなあと思いましたね。
by 練習菌 (2006-09-06 08:54) 

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