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消えた元気 [介護と日常]

妻はずっと元気がない。連休が終わって元気が回復するかと思われたのだが、1回だけデイケアに、それも午後の1時過ぎに出かけては見たものの、それ以降が続かない。ここ数日は足が萎えたように立ち上がることも出来ない。介助して立たせても、抱えた手をゆるめるとそのまま崩れ落ちるように布団に倒れ込む。その原因の一つに転倒がある。
14日、妻は寝ていたのだが息子が玄関に通じる階段への入り口の鍵を忘れて私を呼んだようだ。だが、自分の部屋で仕事をしていた私には全然聞こえなかった。我が家の居住空間は二階と三階で、私と妻は二階で生活している。私の仕事場と寝室、居間はダイニングを挟んで凹のようになっており、この凹み部分が玄関から通じる階段と居住空間へのドアとなっている。このドアの背後は、襖一つ隔てて私と妻の寝所となっているが私の仕事部屋とは壁で仕切られている。つまり、妻には息子が開けてという声が、とてもよく聞こえたわけで、妻は布団から起き出してダイニングルームをまわり、この階段への入り口に向かって突進した。背後に妻が転倒しそうになる足音が聞こえてふり返ったら、スローモーションのように転倒する妻の姿が見えた。顔の右半分を強打して(いつもここを打つ)顔を腫らした。
一晩中、氷で冷やしたりしたが痛がるので明け方病院に連れて行こうと思い電話をした。症状を聞いた病院は、連れてきても良いがたぶん骨折ではなく打撲であろう。痛がるのは内出血した血が溜まりはじめたからであろうから、現状の処置を続けてなお我慢できない痛みであれば連れてきた方がよいだろうが、少しでも痛みが引いてくるのであれば別に連れてきても同じだというので、そのまま氷で冷やすことにした。幸い、朝には痛みも引いたので安心していたのだが、元気のなさに拍車がかかった。気になるのは、語りかける言葉がほとんど通じないこと。布団の中で奇妙に力ない笑いを投げかけてくること。何かを諦めたような笑いだ。食欲もほとんど無かったのだが、これは水分を補充するために妻の分だけ薄い塩味だけの雑炊を一昨日から出すようにしたところ、全部食べるようになった。が、食事以外はずっと布団で寝ていて自分で起きようとはしない。あっという間におむつが山になる。お風呂も座ったら立ち上がれないので全介助となる。九九は出来るのだが、足し算引き算は全く駄目。週二日の訪問介護時間以外は家から出られない。昨日の夕方、業を煮やして妻を抱えて階段からおろし、外に連れ出した。車いすで家の周りをくるっと回ってからいつも行く喫茶店に入った。そこでは車いすから降りて自分で座席に着いたので、なんらかの刺激があったというべきだろう。だが、帰ってからが大変だった。二階までの狭い階段を下から抱きかかえるようにして上がるのには骨が折れた。今度の日曜日には亡くなった叔母の忌明け法事があるが、出席は無理だろうな。


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Silvermac

一進一退の病状、大変と思います。私たちも階段がある高いところに住んでいますので、転倒することが命取りに等しくなります。老人が、転倒したのを機会に寝たきりになる症例が沢山ありますので、用心の上に用心をして上り、下りをしています。先般、行政に頼んで、階段とキャリーで荷物を引き上げるためのスロープ、そして手すりを作ってもらいました。随分楽になりました。入口に仕事場へのインターフォーンを付けられたらいかがですか。くれぐれもお大事に。
 水泳に行くのも少しでも足を鍛えるためです。歩けなくなると、わが家には住めなくなります。
by Silvermac (2007-05-19 10:13) 

左膳

拙者と奥様の病気の内容が違いますが、拙者も転倒した際
何も出来ない自分に対し、何時も自分自身が不甲斐なく腹立たしく感じ
ます。
奥様のこと大変だと思いますが、介護を頑張ってください。
by 左膳 (2007-05-19 13:29) 

私も先日転んでから足が上がらなくなってきました。
トラウマというのか叉転んだら・・・・という意識があり立つ事が億劫になります。
転ぶと言うのは我々にとって時として命取りになることがあります。
奥様、大事には至らなかったようで一安心ですね。
充分注意をしてくださいね。
お大事に!
by (2007-05-19 20:46) 

シマリス

miyataさん、今晩は。
私達にとって転んでしまうことは、その後が本当に大変です。
私も外泊中にあやまって転倒、大腿骨を骨折、その痛みも相当なものでしたが、その後の手術、術後の経過も、今ももう思い出したくもない・・・
トラウマもありました。もうこれからは後がないと言った思いと、もう一度転んだらといった怖さと。
今でもひとりでは怖くて外は歩けません、家の中も家人がいるときだけです。
奥さまもそれに近い感情、身体を動かす事への恐怖があるのかもしれません。
でも寝たままでいたら、体力、筋力はあっという間に無くなってしまいます。
転倒時には幸い大きなお怪我にはならないで済んでよかったと思います。
でも今の状態・・大きなお世話と思われたら、お許し下さい。
現状を担当医にご相談してみるのは、如何でしょうか。
by シマリス (2007-05-19 22:10) 

miyata

SilverMacさん、おはようございます。
転倒は確実に大きな後退を余儀なくされますね。叔母の死から二度目の転倒です。いつもこちらの心の隙間にやってきます。インターホンの件、アドバイスありがとうございます。さっそく取り付けることにします。
by miyata (2007-05-20 06:37) 

miyata

左膳さん、おはようございます。
女房もきっと、自分のことが不甲斐なく腹立たしいと思っているに違いありません。今の無気力からの復帰は、手をさしのべるのではなく、こちらがその意識のそばに寄り添うことが出来るのかにかかっているように思われます。
by miyata (2007-05-20 06:42) 

miyata

だるまさん、おはようございます。
だるまさんの転倒の件、読んでいて胸が痛みました。女房は大事には至らなかったものの、そろそろ、もうこれ以上はという限界に近づきつつあるような気がします。
by miyata (2007-05-20 06:45) 

miyata

シマリスさん、おはようございます。
そうですね。恐怖もあるでしょうし、自分に対する怒りや諦めがあるように思います。担当医に相談しましたが、打つ手が無いという状態です。時間をかけて元気と自信と体力を取り戻すまで、付き合うしかないでしょうね。幸い、デイケアの方が心配して元気づけと共に、気分転換にデイケアへの誘いをしに行くと言ってくれたりしますので、少し気が楽になりました。またちょっと良い兆候もあるのでそれはまた記事にてお話しします。
by miyata (2007-05-20 06:52) 

吃驚なさったでしょう
宮田さんの医師への説明もしっかりしていたのでしょう
見ないとわからないとはいわなかったこと幸いでしたね

息子さん声でおきて歩いた「これもすばらしい行動力ですね」
by (2007-05-20 18:28) 

miyata

なかなかないさん、こんにちは。
転倒は、ほんとに駄目ですね。驚いたけれども、またやっちゃったという、自己嫌悪が大きかったです。どうしてこう日常って隙間だらけなんだろうというか、そんなふうにしかできないのだろうかって。一瞬息子に怒りがわきましたが、ドアの外で転倒した音を聞いて、しまったという顔をしているの見ておさまりました。
by miyata (2007-05-22 09:57) 

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