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<最悪の日>は記憶の淵に沈めなくてはいけない [介護と日常]

経過報告-追記あり
24日
午後5時15分 CT検査の結果、脳室内の出血が広がりはじめた。このまま放置すると今夜中に呼吸が止まってしまうので、リスクを覚悟の手術が告げられた。
この出血が動脈からの出血ならば、手の施しようがない。また、血液の凝固異常が原因で術後の出血が出た場合も止められない。だが放置すると確実に死に至るのでここで何もしないわけにはいかない。出血箇所の分析結果が出ない段階であったが手術に同意。
希望は血小板の輸血などでわずかに数値が好転している血液状態。それに分析が急がれている出血箇所が動脈でないこと。たった二つの希望に運命を託す。
親族に連絡を入れる。クリスマスイブ、運命の分かれ道。
午後6時25分 義弟が病院に来る。手術時間開始は午後七時。
午後6時40分 出血箇所の分析結果が出る。<動脈ではなかった!>
午後7時00分 手術室まで見送る。予定は一時間。実施する内容:脳室ドレナージ術(両側)
午後8時08分 手術終了の知らせ。
午後8時23分 病室に戻ってくる。
午後8時40分 医師が説明にやってくる。「手術はもともと難しいものではないので、無事に終了した。本来なら、この時点で今後のことをお話しすることになるが今回の場合、通常の場合とは違うイレギュラーな展開でこういう手術に至ったことを考えると、現在出血は止まっているが翌日、明後日に出血が起こってくることを想定しなければならない。危険状態は変わりない。ただ、医師の感触で言わせてもらうと命が助かる方向へ一歩ではないが<少しだけ動き始めた>という気がする」
午後9時50分 義妹が駆けつける。手術が成功しなくともすぐにどうこうなるわけでもないので手術の結果を聞いてから動くように伝えてあったのだが、結果を知らせる電話をするとすでに家を出ていた後だった。この辺りは妻とそっくりだ。
午後10時17分 妹の手を握り返す。意識はまだ無い。
午前12時40分 いったん帰宅する。少し寝る。
25日
午前10時13分 交替で出かける前にこの記事を書く。

私は、ひとにものを頼んだりすることは普通にできるしいつもしているけれども、助けを求めることはとても苦手です。だけど、今回は恥も外聞もなくそうしてしまいました。応えてくださった皆さんのご厚情に心から感謝します。これから病院に向かいます。
※前日の記事の間違いを少しだけ訂正しています。「血液凝固製剤」→「濃厚血小板」

追記 23時15分
昨日の時点で手術をしなければいけない状況を招いたことが最悪であり、深刻な状況そのものを医療が暴いてゆく。脳室の膨張による脳幹への致命的な圧迫は避けられたが、その膨張を招いた出血を取り除くことは解決に繋がる治療ではなく、第三脳室の出血そのものの問題も解決しない。手術即、死を避けられたのは動脈からの出血ではなかったというだけで、脳幹に近いところの出血は深刻な事態を徐々にあらわにしていく。
脳圧は通常に戻っているのだが、意識状態、反応は深い混迷のなかにある。
夜9時過ぎ、そろそろ帰ろうかと思い始めた頃反応がさらに鈍くなり見えているのかどうかわからない瞼を閉じられない眼球の動きが力なく彷徨うように意思を失い等速運動のように左右に揺れはじめ高熱がでる。
ただちに今日二回目のCT撮影の指示が当直の脳外科医から出た。ゴロゴロと痰が絡み、それを吸い出すとほとんどが血だった。

昼過ぎ、最初の救急で診てくれた医師が部屋に現れる。助かる可能性を聞くと、二週間しないとわからない。二週間生きていれば、生存はできると言った。血液の凝固異常が解消しない。血小板が回復しない。それが問題である。担当の若い脳外科医が少し遅れて入ってきた。仮に生存してもこのままであるかも知れない。しかし、希望を捨てないで治療を続けるのが私たちの役目と言った。

CT撮影から帰ってきた後、すぐに結果が伝えられた。目立った変化はない。だから今夜はいったんこれで帰られてはどうかと言われ帰ってきた。「おやすみ。今日はこれで寝るよ。また明日の朝」と声をかけると、なんとなくそれに応えるような気がしたのは、きっと気のせいだっただろう。
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コメント 8

ほんのり

miyataさん、ブログの事など気にしないで、休める時は休んで下さい。
そして、奥様のそばにいらしてあげて下さい。
by ほんのり (2009-12-25 12:57) 

うしさん

お忙しい中書いてくださったこととても感謝しています
回復を心からお祈りしています
by うしさん (2009-12-25 17:24) 

Allora

まずは良かったですね。
でもまだ気を抜けない状況でしょうし、ブログの更新など気になさらずに。
と言いつつ気になってブログにはずっとアクセスしてましたが・・・

こんな時って自分に超能力があって、パット回復させてあげる事が出来たらなんて事も思いますが、回復されるよう念は送り続けています。
by Allora (2009-12-25 19:50) 

yakko

こんばんは。
お忙しい中、経過をお知らせいただきありがとうございます。
とりあえずホッと致しました。こころからご回復をお祈りします。

by yakko (2009-12-25 21:30) 

SilverMac

手術成功、最悪状態でなかったと聞いて嬉しく思います。miyataさんご自身のお身体にも十分気をつけて下さい。
by SilverMac (2009-12-25 22:52) 

にこにこ

「おやすみ。今日はこれで寝るよ。また明日の朝」と声をかけると、なんとなくそれに応えるような気がしたのは、きっと気のせいだっただろう。」
いやこれは本当でしょう。くも膜下出血で3月眠った医師の妻がいましたが
娘さんいわく私の言うことが通じているように思いますと。それから数日後に夫がいくと「あんぱんがたべたい」買ってくるとむしゃむしゃ食べた。どんどんと回復した今はもう5年になりますが在宅でディ-ケアーにかよっています。
宮田さんの心に感じたこと貴重です。
by にこにこ (2009-12-26 21:00) 

タケノコ

最悪の事態は免れたようですが、未だ予断を許さない状態のようですね。うちの妻も脳動静脈奇形の部位から外でなく、内側(脳室側ということ)に破裂出血、脳幹部が圧迫されました。
今かかっている病院のERに運ばれ、処理が施されましたが、既知の通り3ヶ月はうんともすんとも反応はなしでしたから、
きっとmiyataさんの呼びかけが通じる日が訪れること祈っています。
by タケノコ (2009-12-26 21:58) 

hana2009

こんばんは。

手術中の最悪の事態は免れたご様子、でもこれからの二週間はさぞ長く大変な日々となるのではないでしょうか。
日々回復の兆しが見え始めたとしても、二週間ベッドにいる期間も含めてこれからのご家族の生活も変わらずを得ないこととなってしまうかと思います。

ご本人の気分を紛らわすためとはいえ、事故直前に奥様が窯の前での作業をされた事、それをmiyataさんが写真に収められた事を、私はどうしても偶然と言えなかったような気がしてしまいました。

現在の日々が何時の日かの希望へと結びつくことを、私も願っております。
by hana2009 (2009-12-26 22:43) 

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