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経過1 [介護と日常]

年が明けて休みに入った病院はがらんとしてまるで放課後の学校のようだが、救命救急センターに入ると相変わらず急患で待合い廊下に人が絶えることがない。エレベーターで四階に上がり病室にはいると少し人が少ないのかなとは思うが、ほとんど変わりなく忙しく人が働き、入院患者の家族待機室にも家族や親族らしき人々が席を埋めている。
妻の姿に生命の危うさを感じることはないが反応があまりない。定期的に体位を変える処置と、痰の吸飲、点滴薬の交換、清拭などが淡々とこなされていく。時折咳でむせる時に見せる苦しそうな表情に現実との通路を感じるのだが、奇妙な倒錯に気づく。現実への通路が開いた時、身体からのセンサーによってモニターは異変を知らせる。本来はその反応が生きている証であるというのに。

現在、苦しみ、痛み、生命を医学というか化学療法が引き受けているかぎり、私の妻が病院から帰ってくることはない、それどころかだれも救えないのではないかというふうに今は考えています。それはほんらい言葉が引き受けるべきものじゃないか、と。

死を免れたことは生きることです。でも生きることにならないような死の免れ方を医学が開いたのです。

点滴の輸液が入りにくくなってきたことと、治癒力・抵抗力をつけるために年が明けてから鼻の管から直接胃に栄養剤が入れられるようになった。そして、昨日から朝晩二度に回数が増やされることになった。今後は頭の管を抜き、意識がさほど改善しなければ胃ろうをすることになる。
年明けから反応が薄くなった原因に、血液が低ナトリウム状態になっていることが検査で確認された。ふだんの高ナトリウム血症とは逆の状態になっている。元々電解質のバランスを保てない妻の脳機能は素直に今の状態に反応しているのだと知らされた。

私は二日起きた時にすこし風邪の症状を感じた。風邪薬を飲んで再び寝ると少し楽になったので夕方近く着替えを持って病院に行った。だが、どうも体調が良くないので昨日は病院行きを子供達に止められ一日家で寝たり起きたりしながら過ごした。その間子供達が病院に詰めてくれた。おかげで今朝は楽になった。子供達は今日から仕事始めとなり、短い正月休みは終わった。
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にこにこ

miyataさんの複雑なお気持ち
を私は理解できていないとは思いますが
夫を頼りにまた次には子どもを頼り生き抜こうとしているのですね

子供さんがお父様の身を案じる姿はどこもなじです。
今は感染症を起こさないことそれを願うばかりです。

命とはひとつしかないから!

by にこにこ (2010-01-04 19:56) 

練習菌

大人用の風邪薬というのは、身体の防衛反応をおさえて、
楽にするので、風邪菌はドンドン体内で増えます。
タムシにステロイドを用いて、タムシの幹部を増やすようなモンです。
飲むなら漢方薬かユンケルみたいなもの。
そして、コタツでしっかり温もって菌をやっつけましょう~
by 練習菌 (2010-01-04 21:35) 

タケノコ

医学の進歩により、延命的な措置、「生きている」という状態の維持は出来るようになってきましたが・・・
本人には重度の障害、家族には経済面や介護の重荷が生じるなか、診療報酬制度、救急医療のためといい、大病院はさっさと追い出す・・・妻が倒れたことをきっかけに、医療の進歩がもたらす弊害?については考えさせられる点も多いです。

ただ、状況は違いますが、うちの妻はリハ病院ではリハビリの進行に支障があるといわれ、胃ろう設置を強いられましたが、小生の素人見解に大学病院側が同意してくれ、意見書を書いてもらった経緯がございます。
風邪とのこと、お身体にはご自愛ください。インフルとかですと、病室に向かうこともお断りの病院が多いでしょうから。

再び、笑顔をひとときでもと願うばかりです。
by タケノコ (2010-01-04 22:50) 

yakko

こんばんは。
miyataさん、お疲れのようですね。
お大事になさってください。

by yakko (2010-01-04 22:58) 

SilverMac

家族心を合わせての奥さまの介護、良くなって欲しいと思います。miyataさんご自身の健康にもご留意下さい。
by SilverMac (2010-01-04 23:00) 

miyata

みなさん、こんばんは。
いつも励ましの言葉、ほんとにありがとうございます。今日(4日お昼過ぎ)頭のチューブを抜きました。水頭症の状態は改善しているのですが、あとはこの後出血が止まってくれるのを願うばかりです。状態はけっしてよくありませんが、今は多くを望む局面でもないのでひたすら見守るのみです。電解質のバランスが上下に急激に変化するようでそのコントロールに苦慮しているとのこと。これを上手くコントロール出来るようになると意識が戻る可能性があるのではと医師は本日話してくれました。

>にこにこさん
いつもありがとうございます。年末年始の休暇があったために久しぶりに家族みんなでという感じで事に対処できました。炊事や家事の分担も出来てとても助かりました。

>練習菌さん
ありがとうございます。ユンケル飲んで頑張ります。菌をやっつけろなんて思わず自虐ネタかと思いました(^_^;)\(・_・) オイオイ
ところで、ほんのりさんが下記に練習菌さんにも宛ててコメントを書いてくれています。練習菌さんもいきなり無理は禁物ですよ。奥さんとの新たな「時」を刻まれることを願ってます。
http://miyata.blog.so-net.ne.jp/2009-12-27

>タケノコさん
貴重なアドバイスをありがとうございます。久しぶりに別ブログの回想編を読ませていただきました。女房が最初に倒れた時のことを生々しく思い出しました。胃ろうに関しては、脳内の出血が止まったことが確認できて、かつ現状が変わらない場合、体力面の事を考えて早期に実施してもらうつもりでいます。最初の時と同じ経過を辿っているように見えてまったく違う経験をしています。今の女房は実年齢以上に消耗が大きいと判断せざるをえません。医師も今回のイレギュラーな展開(骨折から脳内出血にいたるのは本来はあり得ないとのこと。調べてみると「多発限局性出血」というのに該当しそうです)は、最初のダメージ(脳動脈瘤の破裂)の大きさを考慮せざるを得ないといいます。つまりこういう事だと思います。実年齢より10歳とか20歳多めに見積もって考えると、転落時のダメージと現在の状態とが重なって見えると。
医療制度の面では、同じ経験を重ねる必要があるようでうんざりしてしまいますね。いずれ救急から一般病棟そして転院ということになるでしょうが、そこでは今までに得た知恵を出したいところです。
笑顔をもう一度みたいですね、ほんとうに。

>yakkoさん
ありがとうございます。どうも疲れていたようです。子供達も疲れているようで二人して炬燵の中で寝てしまっていました。先ほど起こして布団に寝かせたところです。そろそろ長期戦に備えてペースをつくらなければと思ってます。

>SilverMacさん
ありがとうございます。転落からの展開が急すぎてあたふたしてしまいました。きっと良くなることを信じて長期戦に備えようと思います。
by miyata (2010-01-05 03:58) 

hana2009

miyataさん、こんにちは。

miyataさんをはじめとして、ご家族の皆様がお疲れなご様子が伺えます。
睡眠不足と、身体が疲労している時には、風邪には特に注意しなくてはいけないですね。
病室内は乾燥していますので、水分補給も忘れずになさって下さいませ。

by hana2009 (2010-01-05 15:49) 

Allora

難しい局面が続いているようで、貴兄・ご家族の心中いかばかりかと、お察しいたします。
と、書いてみたところで軽い言葉しか出てこないなと、思ってしまいます、ご容赦のほどを・・・
miyataさんご自身も風邪をひかれたようですが、どうぞお気をつけ下さい。
by Allora (2010-01-05 16:36) 

miyata

hanaさん、こんばんは。
病院というのはどうしてあんなに疲れるところなんでしょうね。花を飾ってみてもとても追いつきません。窓が15センチほどだけ開きます。そこから入ってくる外気に触れる時だけホッとする、そんな感じです。夜になると帰ってきますが、習慣でついこんな時間に起きてしまいます。長期戦に備えるといいつつ、結局は消耗戦に耐えるしかなさそうです(苦笑)。
by miyata (2010-01-06 03:39) 

miyata

Alloraさん、こんばんは。
>と、書いてみたところで軽い言葉しか出てこないなと、思ってしまいます、ご容赦のほどを・・・
いえいえ、とんでもないです。よくわかります。私も同じです。どうか、そんな風に痛みを背負わないでください。私の風邪の方は気のせいだったかもというほど良くなりました。どうもありがとうございます。
by miyata (2010-01-06 03:49) 

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