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一時帰宅 経過20 [介護と日常]

本日、雨が降るなか、理学療法士さんとともに妻が一時帰宅した。約半年ぶりの帰還だった。
午後二時を過ぎるとケアマネさんや業者さんたちと話をしつつ、ちょっとソワソワして帰りを待った。ほどなく玄関のチャイムが鳴り妻が帰ってきた。ドアを開けるとちょこんと車椅子に乗った妻の姿が現れた。おかえり!と声をかけるとにっこり微笑みながら「ただいま」と言って入ってきた。

まず、理学療法士さんの介助で車椅子から降りて階段に向かう。途中直角L字に曲がった全部で15段の階段を一歩ずつ約9分かけて上がった。両手で手すりをつかみ、左足をまず階段に乗せ次に右足を引き上げるように乗せる。この時に右足は階段に乗せられないので、後ろから抱えた介助者が自分の足を右足裏に差し入れて段差の上に乗せる。これの繰り返しだ。両手で支えていると右足でも突っ立っていられるので、左足を次の階段に乗せることが出来る。だが、バランスがとりづらくグラグラするので介助する側もよほど慣れないと危ない。
階段を上がりきったところで体力を消耗してしまい、踊り場で腰掛けてしばらく休憩をしてから、ようやく部屋に入った。居間のテーブルに腰掛けてやっと落ち着く。

リフトの問題 構造上右側取り付けは難しい。左側側壁はかなり補強が必要となる。費用面でどうかというのが業者の見立て。
室内の移動は室内用の車椅子で。外出には外出用の車椅子を用意する。トイレはポータブルで対応。お風呂はユニットバスなので手すりがつけられない(これは最初の改装時の時に確認済み)。入浴は夏の間はシャワーチェアを手すりの代わりに使って移動できるようにリハビリに加えることとし、秋口には浴槽リフトを設置する。これは座るとそのまま浴槽の中に座ったまま沈むというもので、ユニットバスにも取り付けられる。

いろいろな検討が専門家の人たちの間で約2時間続いた。ときおり希望を聞かれるがたいしたことは言えない。なにせ、やってみなければわからないことだらけなのだから。
浮上した問題点は、手すりが片手の場合極端に不安定になる。階段の右側面のL字に折れた方向の手すりが切れている問題をどうするか。構造的にそこが鉄筋なので手すりはつけられないので、つっかい棒で固定して手をかける部分をつくる。次に上がりきったところの壁の部分につかめる手すりをつけることに。階段を上りきった踊り場から居間に入るところに段差があり、そこをスロープで埋める。
風呂場は脱衣所から浴室に入るときの段差があるので、入り口の部分に手すりをつける。その手すりをつかんで左手でシャワーチェアを支えにして段差を越え、座る。秋に浴槽リフトの設置。これは今の段階で(妻の身体能力)浴槽に入れてしまうと立ち上がれないからだ。一度全身が萎えた状態の時に風呂に入れて苦労したことがあってこの事は記事にも書いた。その時はバスタオルを体に巻き付けて引っ張り上げたが、それはもう重たかった。自宅での入浴を前提にしているので、浴槽リフトは大歓迎である。

以上が、今回の検討の結果だった。
さて、引っ越しかどうかの二者択一を迫られていると今まで書いてきた。だが、お気づきのように検討が始まった時点でリフトの設置は選択肢から無くなっていたようだ。まあ、そういうことだろう。答はこちらの決断ではなく外部からやってくる。それを受け入れるというのが解答だった。受け入れた上で新たな方向性に向かう。

病院に帰る時間になった。家から出て行くというのが理解できなかったようで、ちょっとだけ動揺する表情を見せた。さて、階段を下りるのはさらに難しかった。理学療法士さんはこの上がり下りを通じてどのような介助が必要かの最初のレクチャーをしてくれたわけである。階段の下りはまず最初に不自由な右足から下ろして体を支え、次に左足を下ろす。これの繰り返し。だが、上がりと違って後ろから右足を介助者一人では前に押し出せない。二人が必要になる。一人は後ろから体を支え、もう一人は前で右足をつかんで一段下ろす。面倒くさそうだ。たぶん、実際には家族がいる場合を除いて自分がやる場合はおぶるだろうな。一回り小さくなったとはいえ、元が重いのでこれからスクワットでもして体を鍛えなければと思ってハタと自分の年齢が気にかかる。

タクシーがきて、苦労して乗り込んだ妻に手を振ると一瞬抵抗を示して下りようとした。すぐに追いかけるからと言うと不信げな視線を向けながら雨の中、病院に向けてタクシーは走り去っていった。

今後の予定では退院前にもう一度検討会を開く。その上で退院ということになる。ケアマネから言われたのは、今までの買い物とかその他の生活援助は使えないので、入浴介助一時間を週に三回。その他をデイケアとかデイサービス、ショートステイなどで埋めるということになるらしい。私としては、当面入浴介助以外のサービスは保留した。
ショートステイはまず論外。利用者皆さんが以前より元気になって帰ってきますということになれば考える。
デイサービスは今まで利用したことがない。デイサービスでは入浴が出来るが、まあ風呂はゆっくり入れた方がよいだろという勝手な思いこみだ。
いずれにしても、介護が必要な人は千差万別で、自分で選択的にサービスを選べない現状では、許されるサービスの範囲の中で勝手を貫くのが最善だと思っている。サービスが無ければ無いでこれまたかなり大変だ。そこで週三回一時間の入浴介助を受けながら、ペースをつかんで以前のデイケアに週一回か二回利用できるようになればいいなと思っていることを伝えた。

わが家のケアマネさんはどちらかというと、制度の代理人的性格が強い女性の方で介護保険改正の時にはかなりぶつかった。すぐに契約を打ち切ろうと思ったが、それですんでしまえば面白くないから疑問などをぶつける相手としてつき合ってもらった。結果的に改正前と同じサービスを継続してもらえることになった。今回、約半年ぶりに会った彼女はなんとなく今度は以前のようには行きませんよという決意を秘めているようで、もう一度私も介護保険や身体障害などのサービスについて勉強しなおして、疑問をふっかけつつ楽しませてもらうつもりだ。
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ほんのり

おはようございます。
無事、一時帰宅が終了したようで良かったですね。
はっきりと理解していない状態で、自宅へ戻ったり、又病院に戻ったりと、この状態は家族にとってせつない気持ちでいっぱいになりますよね。
でも、こういう段階を踏んで自宅へ戻れるのですから…と、自分を励まして前へ進んで下さい。

何年か前の父の目つき、顔つき、不安いっぱいの様子を思い出してしまいました。
父は男でしたので、力いっぱい抵抗して大暴れをしました。。。
by ほんのり (2010-05-20 06:59) 

miyata

ほんのりさん、おはようございます。
玄関を開けてちょこんと車椅子に乗ってわらっていた妻の顔を見たときは感激しました。また家を出なくちゃいけない時は可哀想でした。でも、ほんとに帰ってくるときが来たんだと実感できる一日でした。
ほんのりさんはいろんな局面をくぐっておられるので、言葉が身に染みます。
by miyata (2010-05-20 12:00) 

miyata

ヒロさん、こんにちは。
niceをありがとうございます。
by miyata (2010-05-20 12:00) 

にこにこ

新しい希望ですね
お話しようか考えていたことがあります
奈半利にはほとんど医療機関はないようにおもっていただいたほうがいいとききます。
大きな病院は県立安芸病院ですがほとんど高知医療センターへ送っています(時にはヘリで)
坂道がなく歩行器で一人でも行ける(遠い将来)買い物やかかりつけ医師のいるところといえば
我が家ぐらい(ほかにもあります)のところです。庭付きガレージ付きとなれば新築3500から4000万円です。
奥様の医療を考えれば京都が安全ですが
miyataさんの心情は田舎がいいのですね
今は車の運転ができますが高齢になったときのことも考える必要がありますね
郡部の方は奥様を看取ってから(不謹慎ですが)高知市内の有料老人施設に入ります月14万円から17万円です。

家を売ってお入りになる方も多いです。
このごろお金持ちのご隠居様が高級マンションに入って段々お弱りになることも聞きます(緑もない)(挨拶する人もない)

慣れた家を補強改築して住み続けている方が一番元気です。
by にこにこ (2010-05-20 14:01) 

miyata

にこにこさん、こんにちは。
奈半利に医院がほとんど無いことは知っています。それでも何軒かあり、うち一軒は私の同級生です。
逆に、介護施設は充実しているのです。あの狭い町内に三軒もあるんですよ。しかもうち一軒はリゾート型だとか。どんな内容か知りませんけど。市内の業者らしいです。
便利をとるか、不自由の自由をとるかですね。
高知の救急搬送ヘリのパイロットは私の友人です。安芸や室戸はあるが奈半利は滅多にないとのことでした。奈半利はまず安芸に運ばれるようですね。
わが家は独居死の傾向があるのですが、わたしもそうなりたいです。施設は嫌ですけど、自分で何も出来なくなったら勝手にしてくれて良いと子供達には伝えています。でも、意思が確認出来るときには余計なことをせずに放置して欲しいと頼んでます。これも往生際が悪い証拠ですね(笑)。

by miyata (2010-05-20 14:53) 

うしさん

そこまでお知りになっていればご自分の選択ですね
私も先ほど次の童話が完成して印刷やさんへ送信する前に何回も読んでいますとなんとかわいそうな老人は私でしたがその老人は友人たちの支えで幸せで人様の役に立っているのです。
CDに録音して娘に読んでもらおうと思います。
サウンドイットで録音してみて。私の声も捨てたものではないと!
by うしさん (2010-05-20 15:30) 

miyata

うしさん、こんばんは。
>そこまでお知りになっていればご自分の選択ですね
そりゃ、まあ自分が生まれ育ったところですし外形的なことは理解してます。町長も議員連中も皆中学時代の同級生です。

で、それが近づくと考えが変わるかもという前提で(ようするに、あまり意思や意志など信用していないという意味でです)私はうしさんとは違って、すべての人から忘れ去られるように、誰の役にも立たないしもちろん社会の役に立つなどこれっぽっちも考えてなくて、こっそり消えるように一生を終えられるのが理想です。
by miyata (2010-05-20 17:32) 

hana2009

miyataさん、こんにちは。

奥様が、半年振りに帰られたのですね。
ご本人は勿論、miyataさんもどんなに嬉しかったことでしょう!

家の場合も浴室内には手すりはつけておりません。
バスチェア&浴槽の上に渡すバスボードで間に合ってしまっているからです。それももう少ししたら必要なくなるかもしれません。

やはり問題は、階段の上り下りなのですね。
その部分については、これからも何度も検討をされることになるのでしょうか。

しかしいよいよ、退院も間近なものになってきているご様子ですね。
最初はだれだって、不安の方が大きいもの。
更に回復される事を、私も楽しみにしております。きっと良くおなりになります!
by hana2009 (2010-05-20 18:27) 

miyata

hanaさん、こんばんは。
どうもありがとうございます!いや、ほんとに嬉しかったです。
階段はやっかいです。だけどなんとかこなそうと思います。それで、引っ越しを具体的に検討を始めました。以前から少しずつ片づけてはいたんですが、もっと積極的に動こうと思います。年内に引っ越し先が決まればと思っています。
by miyata (2010-05-20 20:53) 

tonton

こんばんわ。

奥様半年振りのご帰宅だったんですね。
階段も少し大変そうですね。。。

引越しが前提になってるんですね↑
奥様もmiyataさんも快適に過ごせる住まいが見つかるといいですね!!
miyataさんもご自愛くださいね。


by tonton (2010-05-20 22:01) 

タケノコ

階段の昇降がかなり苦戦しそうですね。
両手が使えそうなら、片手は三点杖とかでの保持も考えられますが、階段の幅も考慮しないといけませんね。(かえって危険ですし)昇りより下りの方が本人も怖がるし、介助者も支えづらいですね。miyataさんの体力的な問題もこの先はでてくるでしょうし・・・
リハで階段昇降と介助者の介助練習も少しでもやってくれるといいのですが。

風呂はバスボードや万力のように浴槽壁を夾みこむグリップタイプのものもありますが、如何でしょうか。浴槽中に低めの吸盤つきのイスを入れるとバスボード→低イスと二段階で座るような形で入れます。(うちは当初この予定でしたが、妻の片手の力が予想以上に強かったので、低イスは使わないままです。今はバスボードも殆ど使わないで、手摺りのみです)

身障自立支援法よりも介護保険の方が、選択肢は多いですし、デイやショート、ケア施設の数も圧倒的に多いですが、時間できちんとやることを決められてしまうのが難点ですね。
by タケノコ (2010-05-20 22:30) 

miyata

tontonさん、こんばんは。
そうなんです。半年ぶりだったんですよ。うれしかったなあ。
引っ越しはそうですね。リフトがつかない以上一年は続けられても三年、五年は厳しくなると思いますので。
新しい住まい探し、応援してください!
by miyata (2010-05-21 00:46) 

miyata

タケノコさん、こんばんは。
杖、歩行器などいろいろ試してもらったんですが、自立歩行は出来ないというのが現時点での評価です。hanaさんがおっしゃられるように家での生活で機能が向上することは無いわけではなさそうなので(日常生活のリズムがリハビリを上回る可能性はあるそうです)、それはちょびっと期待してます。
バスボードとかは、すでにわが家にあるんです。それと、吸盤がつかないバスユニットなんですよ(苦笑)。滑り止めになってるんですけど、浴槽そのものが障害者用ではないんですね。
今は浴槽に浸かることが大変危険なレベルで、病室でも入浴の際は二人がかりで抱えるのがやっとだとのことです。ですから浴槽リフトがのんびり入浴の決め手になるとPTのお薦めでした。

介護保険とか身障自立支援法など、もう一度見直してみようと思ってます。
by miyata (2010-05-21 01:17) 

SilverMac

埼玉、横浜、湘南を回ってきました。4泊5日の旅で草臥れました。
これからの準備、大変と思いますがガンバッテ下さい。
by SilverMac (2010-05-21 13:35) 

Allora

いよいよ帰宅後の具体的な段取りに入られた訳ですが、二階への上がり降りが大変なようですね。
お風呂は浴槽リフトが付けば少し楽になられるようですが、ヘルパーさんにも来てもらうんですよね?

いずれにせよ帰宅されてからの毎日がリハビリになり、少しずつでも回復されるよう願うばかりです。


by Allora (2010-05-21 23:52) 

miyata

SilverMacさん、おはようございます。
ありがとうございます。
ゆっくり休養なさってください。旅の写真、楽しみにしております。
by miyata (2010-05-22 10:34) 

miyata

Alloraさん、おはようございます。
いよいよです(^_^;
いちおう、入浴介助で週に三回1時間ヘルパーさんに来てもらうことになっています。とりあえず、介護保険のサービスはこれだけです。

家の中でゴソゴソ動いていると、だんだん回復してくれるのではないかと淡い期待をしています。
by miyata (2010-05-22 10:52) 

yakko

お早うございます。奥様の一時帰宅は具体的な問題点が分かりましたね。 介護保険のサービスも十分とは言えないまでも大いに利用して下さい。私は久しぶりの都会でした。(^。^)
by yakko (2010-05-25 06:05) 

miyata

yakkoさん、おはようございます。
いろいろと工夫してやってみたいと思っております(^^)v
都会の事、楽しみにしてます(∩.∩)
by miyata (2010-05-25 06:40) 

練習菌

奥さんが大阪の病院(ホスピス)に転院できそうです〜
by 練習菌 (2010-05-31 20:40) 

miyata

ホスピスですか・・・(号泣)
by miyata (2010-05-31 21:26) 

ほんのり

ああ、練習菌さんもmiyataさんも大変ですね。
いつも、男の人なのに本当に良くなさっていると、感心しておりました。
痛みがあるのは、本人も廻りの家族も辛いです。
練習菌さんの判断もmiyataさんの判断も決定するまで大変だった事でしょう。
どうぞ、それぞれの判断、決定に自信を持って進んで下さいね。
東京の高田馬場からp(*^-^*)q がんばっ♪の応援を送ります。
by ほんのり (2010-06-03 15:33) 

練習菌

療養型病棟は年齢制限で入れないですからねえ。
今日、転院先候補を見学して来ます。
by 練習菌 (2010-06-05 08:16) 

miyata

ほんのりさん、こんばんは。
なかなか確信を持てる事って少ないですね。それでもなにかを選ばなくてはいけないわけで、なにも選ばないという選択肢があればなあと思うことが私にはあります。でも、いつもそんな都合のよいことばかり考える自分が嫌になりますね(笑)。応援ありがとうございます。頑張ります(^^)v
by miyata (2010-06-11 01:43) 

miyata

えーちゃんaaaさん、PENGUINGさん、うつマモルさん、niceありがとうございます。
by miyata (2010-06-11 01:45) 

miyata

練習菌さん、こんばんは。
>療養型病棟は年齢制限で入れないですからねえ。
いろんな制約がありますよね。でも、療養型よりホスピスの方が奥さんにとっても菌さんにとってもよかったのではないでしょうか。きっとそうですよ。
by miyata (2010-06-11 01:51) 

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