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最後の報告 経過22 [介護と日常]

昨夜は緊張で疲労してしまい、退院報告をすぐに書けなかった。あらためて、みなさんありがとうございました。無事帰ってまいりました。

朝10時までに退院するようにと言われていたのですが、先生の事務処理が長引いて結局病院を出たのは10時半を過ぎていた。スタッフの方や仲のよかった患者のみなさんに一通りの挨拶をしてから階下におり、リハビリの先生方にも挨拶をして病院を後にした。福祉タクシーを予約していたので、車椅子のまま車に乗り込み家に到着。その後、すぐに家に上がらずに、家の周囲をぐるりとまわってスーパーで買い物をしてから家に上がった。
最初の難関の階段上がりは、こちらも緊張して体に力が入り途中でどうなるかと思ったが、妻の頑張りでなんとか上がりきった。ここは勝負所だと思ったのだろう。増設した手すりも上手に使って二人ゼーゼーしながらやっとこさ室内用の車椅子に。
冷たいお水を飲んでひと息ついてからスーパーで買ってきたお寿司を食べた。食後しばらく車椅子のまま休んでいたが、コックリしはじめたのでベッドに横になるとすぐに寝始めた。私も畳の上にそのまま二時間も寝てしまった。目覚めると、いきなり筋肉痛の初期症状が首や足腰に出ている。これは扱いになれるまで仕方がない。

目覚めてからは車椅子に移動してしばらく外をじっと眺めていた。私が植えたキュウリの花や茄子の花を飽きもせずに眺めている。妻が乗りこえて落ちたベランダの柵には遮蔽板が取り付けられていた。この遮蔽板を六月に取り外した。白い乳白色のアクリル板なのだが、ふとこれがなくて眼下との距離が測れていたらここを乗りこえようとしたりしなかったのではないかと思ったことも理由のひとつであったが、この遮蔽板を取り外した事によって、まったくあらたな環境が出現した。
この家は、すくなくとも二階はすばらしく風通しのよい家だったのである。昨年まで、夏に窓を開けておくことなんて考えられなかった。尋常ではない暑さは、ベランダの下にある駐車場の屋根の照り返しだとばかり思っていたのだが、それは違った。遮蔽板が温室のような役割を果たしていたのだった。それに屋根が冷える夜になっても通り抜ける風を全て塞いでいたのだ。気持ちのよい風を感じながらじっと外を見ている妻はずっと不機嫌だった。

夕食の後、仕事帰りの娘がお祝いのケーキを買ってきてもその不機嫌さは続いていた。その後深夜に及ぶ三度の排泄で不機嫌の事情が飲み込めた気がした。家に帰るということは自分を不慣れな素人にゆだねることでもあるわけで、遠慮やもろもろを含めて不安と向き合っているのだろう。hanaさんのコメントにも退院に際しての不安に触れられていた。夫婦、家族が手を取り合って自宅に帰れたことを喜び合うという絵に描いたようなシーンではなく、妻の不機嫌によって、これから始まる生活の実相から始めよと示されたことはなによりだと考える。これまでもいつもそのようにして具体を示してきたことを忘れないようにしたい。

一夜明けた朝、とうとう始まったなという感じ。私への信頼と安心が確認されときに妻の不機嫌が時々の笑顔で塗り消されていく過程を歩むのだろう。朝食後の短い室内歩行訓練では、介助をする私が汗だくになって終わった。いろいろな局面での介助は慣れなくてなかなか大変だが、おおむね想定の範囲内である。少し慣れてくると無駄な力も抜けてくるものと思われる。私はだいたい昔から不器用で、なにかを始めると一定のレベルに達するまで人より時間がかかった。でもいったんそこに達するとそこそこのレベルを実現できてきたので、今回もそれを自分に期待している。

ということで、これまで続けてきた経過報告をいったんここで終えたいと思います。書かなかったことはたくさんあるけれども、入院から退院にいたる大枠はそれほど漏らさず書けたと思います。長い間妻と私への声援ありがとうございました。大げさな同情や歯の浮くような美辞麗句など縁のない、皆さんの静かで力強い応援はほんとうに心に染みました。これからはまたぼちぼちと日々の徒然や大きく修正を余儀なくされ難破船のように彷徨している思考の足跡なども勇気を持って文字にしていきたいと思っています。
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ほんのり

退院★:゚*☆※>('-'*)♪オメデトウ♪(*'-')<※★:゚*☆

さ~、これからが本番ですね。
本当の事を言うと、奥様が事故を起こした昨年の末には、こんなに順調に回復なさるとは考えてもいませんでした。
奥さまの生命力の強さ、ご家族の願いが、こんなに素敵な事になったのですね。
本当におめでとうございます。
by ほんのり (2010-06-22 18:07) 

うしさん

まずは退院おめでとうございます。夫婦がそろって暮らせる。不便はあってもね
by うしさん (2010-06-22 18:15) 

Allora

退院おめでとうございます。
これからがmiyataさんにとって、踏ん張り所になるのでしょうが、簡単にがんばって下さいと言うのも、ちょっと言いにくく感じる自分がいます。

僭越ではありますが、肩の力を抜ける時は抜いて、ご自身も労わりながら‘介護生活’を続けていかれたらと思っています。

引き続きmiyataさん御一家により良き道が開けるよう念じています。
by Allora (2010-06-22 20:53) 

水曜会の茸

こんにちは。

御帰宅よかったですね。

勿論全ての解決ではなくて、
「また家に戻って来た」
ってことですが・・・

(でもね!!年末の緊迫感を思うと・・「よかったよかった」思ってしまうのですよ・・・(涙))

来月、長野・平谷の風を吸ってきます。
菌さん、miyataさん・・・
皆とあの空気・雰囲気・歓喜・・・

有る事を!!!ホ~~~プ!!!!

by 水曜会の茸 (2010-06-22 22:54) 

hana2009

退院おめでとうございました。
入院生活で体力が落ちてしまっているからでしょうか、少しの事でもお疲れになってしまうのですね。

miyataさんもお慣れになるまでは、本当に大変かと思うことばかりです。
中でも階段の利用時の事。
このままでは無理を重ねてしまう事になるのはないかと心配でなりません。
大きなお世話かとは思いますが、ヘルパーさんの利用を週三回と決めずに増やされたらいかがでしょう。
その時に階段の昇降を一緒になさって、ヘルパーさんにお散歩の付き添いをお願いされるとか。

奥様の入院に際しての経過報告がこれで最後となることを、私も嬉しく思っております。今夜は、お休みなさい。
by hana2009 (2010-06-22 23:17) 

SilverMac

奥さまのご帰宅、良かったですね。
病院と普通の民家の相違は大きいと思います。矢張り、時間をかけて慣れることが必要でしょうね。
私も最初のヘルニア手術後、車椅子を使い、初めてその怖さを体験しました。しかし、二度目の手術では車イスは使用しませんでした。十数年で治療の仕方が変わっていました。
by SilverMac (2010-06-23 05:33) 

yakko

お早うございます。 退院、おめでとうございます。(^ニ^)
喜びと不安の両方ですね。そしてお疲れ様でした。
これからは体力が要りますね。ヘルパーさんの力を借りて、あまり
無理なさいませんように ! 平穏な日々を祈っております。
by yakko (2010-06-23 06:06) 

miyata

yoshさん、どうもありがとうございます。
ホテルフジタの屋上ビアガーデンが気持ちよいところなんだけど、今度どうですか?ああ、でも平谷とかで忙しいかな。
by miyata (2010-06-24 14:16) 

miyata

ほんのりさん、こんにちは。
いよいよ始まりました。長かったけどあっという間でした。わたしもここまで回復して帰ってきてくれるとは思っていませんでした。どうもありがとうございます。
by miyata (2010-06-24 14:18) 

miyata

うしさん、こんにちは。
どうもありがとうございます。

by miyata (2010-06-24 14:19) 

miyata

Alloraさん、こんにちは。
ご心配いただきありがとうございます。世の中うまくできているもので、一方で負担が増えると、もう一方では軽減されるみたいなところがあってというのが経験則なんですけど、今回もそれがあてはまるような気がしてます。あくまでも希望的観測なんですけど。今のところ、新たなよちよち介護初心者として謙虚に頑張ります。
by miyata (2010-06-24 14:23) 

miyata

水曜会の茸さん、こんにちは。
どうもありがとうございます。帰ってこられてよかったです。
まもなく平谷ですね〜。いいなあ、あそこの空気。今度こそ壊れないマシンで走ってみたいなあ。一杯楽しんできてくださいね。いつか再会を期して!
by miyata (2010-06-24 14:25) 

miyata

hanaさん、こんにちは。
階段は、やはり難関ですね。下りはちょっと一人では介助はできませんね。背負うのが一番の早道です。ヘルパーさんの回数は決めているわけではないのですけど、身体介助で入浴くらいしか使えないのですよ。見守りとか生活援助は同居家族がいると駄目というのが、現段階でのケアマネさんの主張ですから、まあこの方ともつき合いが長いのでおいおい協力はしてくれると思ってるのですが。あたった人によるというのは困った制度ですよね。
生活のリズムもまだ四日目ですから、まだまだつかめてません。入院時に近い規則正しい食事時間をというぐらいです。それでもすこし寛いできてくれているので一安心というところでしょうか。今日は入浴にチャレンジです(^^)v
by miyata (2010-06-24 14:39) 

miyata

SilverMacさん、こんにちは。
そうですね。慣れるまでもう少し時間がかかりそうです。家の中は障害物が多すぎるという感じですね。スリッパや座布団などでも障害物になってしまいます。以前のようにおおざっぱな整理では間に合わないようです。でも、私自身は精神的にはずいぶん落ち着けました。これで、龍馬伝やサッカーもゆっくり見ることが出来ます。入院中は時間が過ぎてしまってまともに見ることが出来ませんでしたから(^^)
by miyata (2010-06-24 14:47) 

miyata

yakkoさん、こんにちは。
はーい!無理しないように頑張ります。家にいると安心感が違います。依存してるのはこっちの方という感じですねf(^ー^;
by miyata (2010-06-24 14:51) 

にこにこ

私は介護保険以外で人を雇いました
高知はまだ1時間800円です
でも同じ高知でもダスキンさんは1時間2000円です
もっとも私が仕事で出かけるときのみですが。1時間800円よりは稼いでいましたから。
by にこにこ (2010-06-24 15:53) 

miyata

にこにこさん、こんにちは。
高知は安いですね。
私の現在は、人を雇って仕事をする必要がありませんし、最早そんな贅沢はゆるされません。
by miyata (2010-06-24 18:34) 

miyata

chihiroさん、こんばんは。
いつもどうもありがとうございます。
by miyata (2010-06-24 19:34) 

yosh

おっビヤガーデン、良いですねえ、、、、と言いたいところですが、心臓の検査に引っかかっちゃいまして、当分?ひょっとするとこの先ずーッと?禁酒になりそうです。だもんで、平谷の楽しみも半減ですわ。
仕方ないので、今度うまい飯を食いに行きましょう!ってことで。
by yosh (2010-06-26 12:06) 

miyata

yoshさん、こんばんは。
心臓?なんかそういう自覚症状があったんですか?
うまい飯だったら、大阪ですね。それもいいなあ。7月に入って10日過ぎならいつでも。また声をかけてください。
by miyata (2010-06-27 01:06) 

タケノコ

入院されて半年ほどですかね、退院後も以前とはまた違った介護が必要となって、これから暑い季節ですし、miyataさんも奥様も、水分をしっかり摂られてくださいませ。
階段だけは、奥様ご本人がある程度足腰に力が入ればいいでしょうが・・・介護者に委ねるような形だと、毎度の昇降はなかなか大変かと思います。ここは家族も含めた他人の力も利用しましょう。
by タケノコ (2010-06-28 22:58) 

hana2009

こんにちは。
昨日、今日と、こちらでも蒸し暑さ全開な日々が続いています。

介護保険は、見守りでも使えないのですね。
介護保険の利用をしていながら、その仕組みが解っていない私なのですけれど・・・
私の住むところでもC社の不正が発覚してから、ヘルパーさんの見守りと生活援助、どちらも一切駄目と言う事になりました。
同居する家族と言っても、生活費の為に働いている一人だけですのに。

その後は仕方なくヘルパーさんの代わりに訪問看護の方に切り替えて、今は訪看さんに一緒にお散歩=見守りをしてもらっています。
このようにそれぞれの自治体によって利用制限があることも、混乱させる理由のひとつかと思います。

私のケアマネさんも制度に忠実なのかどうか、利用者の方より、役所の窓口の方へ向いてしまっているように見受けられてしかたがありません。
だからと言うわけでありませんけれど、今は聞かれた事だけしか、必要最低限のことしか言うつもりはないです。
通所しているディケアも自分で見つけて、自分で見学してから行き始めました。

ケアマネさんが知らないことだって、いくつもあるはずです。
今は一番大変な時期なのですから、利用できる事は利用して乗り切られることを私も願っています。
どうか、お身体を休めてください。
by hana2009 (2010-06-29 13:40) 

tonton

こんにちわ。

遅くなりましたが
退院おめでとうございます。


よい具合に奥様のサポートにリズムがつかめるといいですね。
そして奥様も自分でがんばらなくちゃ!って
気持ちも出てきてるようですね~!
もっともっと出てきてくれると嬉しいですね。
またあの笑顔が見れるのを楽しみに待ってます!

まだまだ大変な時期だと思いますが
無理せずがんばってください。



by tonton (2010-06-29 17:24) 

miyata

タケノコさん、こんばんは。
まだひよっこ介護、勉強中です。それよりか、サッカーでボロズタです(苦笑)。
入院してちょうど半年で帰宅できました。長かったけど、よかったです。
by miyata (2010-06-30 22:37) 

miyata

hanaさん、こんばんは。
介護保険にはずいぶん助けられていますが、何が嫌かってサービスを選べない、決められるって事です。措置から契約になって大きな前進だと言うのですが、制度の代理人まであてがって、サービスそのものを管理するやり方というのは、お上の恩恵を脱するどころか強化していると感じます。現場の人に批判もなければ尊敬しますし、感謝しますが、根底に流れている思想が受け入れがたいと思っているのです。現物給付のあり方にしても、この流れは要介護者という社会資源を活用するために新たな利権構造をつくったということで、従来の行政のあり方を踏襲しているという以外に何物でもないと思います。
幸い、入院していた病院の医師から勧められて身障者手帳を申請することにしました。まだ決定は下りていないのですが窓口ではこれからの医療費が免除されると聞いてホッとしてます。医療費は今後のことを考えると頭痛の種でしたから。
by miyata (2010-06-30 22:47) 

miyata

tontonさん、こんばんは。
どうもありがとうございます。おかげさまで無事家に帰ってこられました。
ここ数日、かなり家の生活にも馴染んできたのかリラックスした表情を見せるようになりました。もう少しすると私も体が馴染んでくるように思います。無理せず、頑張ります(;~_~)9 ググッ!
by miyata (2010-06-30 22:50) 

にこにこ

いえいえ、私の仕事は大学でしたから3月末まで早められない。特に必修教科ですから、そのために人をやとったのですよ。
by にこにこ (2010-07-02 13:03) 

miyata

にこにこさん、こんばんは。
大学に費用を半分でも出させればよかったですね。
by miyata (2010-07-04 22:07) 

練習菌

介助が大変そうですねえ。
腰にだけは気をつけてくださいね。
私も奥さんの食事の際にかがみ込んで介助するものだから、ちょっと
腰に来始めている。
こういうときは「ドッコイショ」と自分に気合いを入れて作業しよう。
何も言わずにやると、無防備な腰になって、ギックリをやってしまいそうなのだ。
今週末は大阪に出ないとなあ。選挙もあるし〜
by 練習菌 (2010-07-08 17:01) 

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