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サッカーとか、ぬか床とか。 [介護と日常]

ワールドカップ
ワールドカップも今日まで(正確にいうと明朝6時過ぎには延長・PK戦になっても終わる)。四年前もそうだったがこの時ばかりはにわかサッカーファンとなる。早朝になろうがどの時間帯でも中継があればすべての試合を見てきた。日本代表は残念ながらベスト4の目標は達成できずに決勝トーナメント一回戦で敗退した。実はベスト8には行くのではないかと期待していたのだが残念だった。総じてグループリーグは退屈な試合が多かったが、決勝トーナメントに入ると俄然熱をおびた戦いが見られて熱中している。
日本代表がグループリーグを突破するのではないかと思い始めたのは5月30日に行われた親善試合イングランド戦を見てからだった。中村俊輔が欠場したこの試合でそれまでの目を覆うばかりの低迷から脱出できるきっかけが見えたのではないかと思ったからだ。いろいろな予想を立ててみるのは面白かった。そしてつづくコートジボワール戦を見たときに、もし岡田監督が中村俊輔を外す決断をして戦術を組み直すならばグループリーグでの惨めな敗退はないだろうと思った。あくまでも期待込み以上のものではなかったが、きっとリーグ突破するという予想を、期待できないと書いていたお友達ブログにコメントして本番を待った。
結果、代表の戦いぶりは予想を超えてすばらしかった。後半40分を過ぎても今までのような追い詰められた表情どころか雄々しく見えた選手たちに、守備が安定するとこうも自信をもって戦えるものなのかと驚いた。こういう代表チームを見たのははじめてだった。おそらく個々人の力は前回大会の代表の方が上回っていたのではないかと思うが、チームとしてはひとつ進歩した感を強くした。昨夜NHKのドキュメントを見ていて知ったのだが、代表でのチームの結束とか一体感とか選手たち自身が初めての経験だったと皆が口を揃えて言っていたことだった。個の力を補う組織力が日本の特徴であり強みであり文化であるとかは多くの人がさんざん浪費してきた言説だが、そんなものは今回初めて選手たちが発見するまでどこにもなかったということだ。つまり、望みばかりを語っていたことになる。
決勝トーナメントは残念だった。岡田監督は試合後、敗戦は自分の力不足だったと言ったが、それは率直な感想だろうと思った。選手交代にその限界を感じた。おそらく野球の野村なら監督のせいで負けた、あるいは監督次第で勝てる試合だったと評価するのではないだろうか。
中村俊輔はとうとう不調から脱出できなかった。この舞台に照準を合わせて怪我などで出場機会に恵まれなかったスペインから国内復帰し備えたはずなのに、代表の評価が凋落していった軌跡と中村の不調はシンクロしていた。とくに本番直前の韓国戦では目を覆うばかりだった。もともと私はこの天才的な選手のプレイスタイルがあまり好きではなかった。だが、オシムに呼ばれてからの彼には何度も目を見張らされた。しかし、巡り合わせが悪いというのかなんというのか今回唯一出場機会があったオランダ戦後半の交替で彼は局面打開どころか危機を招く始末だった。次の出場はないと思わせるに充分だった。残酷だが、彼の不調が岡田の決断を産みチームの結束をもたらした。耐えられなかったというのはまさに本音だったろう。絶頂の中村が倒れなかったオシム采配の元でこのワールドカップを戦っていたらと夢想するのは悪くない時間の過ごし方だった。
さて、今夜の決勝戦。勝敗の行方はタコ君に任せてじっくり楽しませてもらうとしよう。

妻のこと
退院時に6月中に提出した方がよいといわれて渡されていた身体障害者手帳申請のための医師の意見書を、必要書類と共に提出したのが6月28日だった。窓口で、決定が下りるのに50日ほどかかるといわれてそのつもりでいたから、ほとんど忘れていた。ところが交付決定が下りたので7月8日以降に受取に来いと通知が来た。驚いたが、なぜ申請したのかその目的を思い出してすこし肩の荷が下りた。ほかにも今年の誕生日で満65歳を迎えるのだが、介護用品の補助などが制度として用意されていることをヘルパーさんから聞いた。これらで助かる部分を訪問リハとかに役立てたいと思っている。
日常生活のほとんどに全面的な介助が必要だが、少しずつこちらの体が馴染んできているのを感じる。入浴介助も最初のうちはヘルパーさん二人と私との三人がかりだったが、ずいぶんスムースに事が運べるようになって今はヘルパーさんと私の二人で充分こなせるまでになった。これは彼女が入院時にリハビリでよく訓練されていたことも大きい。ヘルパーさんが来ないときでもちょっと娘や息子に手伝ってもらうだけでシャワーが出来るようになった。
排泄処理もベッド上で洗い流す方法を教えてもらったりとこれまた少しずつレベルアップの最中である。階段の下りはちょっとしたことがきっかけで、私一人でも下ろせることがわかった。ようするに、べつに立って下りる必要なんてなかったのだ。ただ、よく雨が降るのでまだなかなか外に出られないけれども。予想したとおり、妻も落ち着いてきてときおり笑うようになってきた。そこで、今月に入ってから週一回デイケアに行ってもらうことにした。お迎えが来たとき、私と妻がすでに階段の下で待っているのを見て職員の方が驚いていたがそれを見て彼女も嬉しそうに笑って問題なく出かけてくれた。逆に今度は上りの方がたいへんで、上まで上がると介助の人も妻も汗だくである。
以前に加えてすることが格段に増えたが、(とくに洗濯はちょっと以前と比較にならないほど増えた)目を離すと何をしでかすかわからない(確実に以前はなにかをしてしまっていた)状態から解放されて、まるで治まるべきところに治まったような生活となった。眠いときには寝られるし、妻を一人置いて食事の買い出しにも出かけられる。絵を描いたり本を読んでいる横で私も本を読んだり出来る。制御できない突き動かされるような衝動の気配を感じるときはある。だがその瞬間彼女は自由に動けない自分の枠組みである身体に気づかなければならない。そうしたときの妻は私のことに気がついてくれる。そして優しい。私も以前よりずっと穏やかに接することが出来る。ギスギスしたり破壊的な衝動に駆られることもない(今のところ)。
肘が痛んだり、身体のどこだといえない鈍い重さや痛みがあるがきっと三ヶ月もすれば私の身体は今の生活にふさわしい身体に変貌すると思う。

プランターの野菜
ベランダを少し片づけてキュウリと茄子、トマトそれに鷹の爪の苗を買ってきてプランターに植えた。キュウリは順調に育ち収穫できている。茄子は最初は花は咲けども実をつけてくれなかった。10日ほど前から米のとぎ汁をやるようになってから急に実をつけはじめた。単純に土に栄養がなかったのかもしれない。キュウリや茄子が実をつけていくのを見るのは初めてだったので毎日観察して楽しんでいる。面白い。鷹の爪も立派に成長している。問題はトマトである。これで三年目になるがまともに出来たことがない。苗の当たりが悪いのだろうか。ネットでtamiさんにアドバイスを受けたりしたが花ひとつ咲く気配もない。苗が悪いとの結論に達し植え替えようと思ったがいざ抜く段になるとどうも忍びない。この展開は過去二年と同じである。枝芽も放置してそのまま成長するに任せている。元気はやたらあるのだが今や雑草と化している(苦笑)。だけどベランダの緑として十分に役割を果たしてくれている。自家製のトマト、鷹の爪、バジルで手打ちのパスタをつくる夢は来年までとっておこう。

ぬか床
6月17日をぬか床記念日とした。冬を越えたぬか床はいまや堂々とした漬け物を提供してくれている。やっと納得する味になった。人参、キュウリ、茄子、こかぶ、大根と日々食卓を飾る。毎日ぬか床に手を入れるとなんとなくだが調子がわかるような気がするから不思議だ。塩や糠、辛子に昆布やカツオ節、椎茸などを状態に応じて足したり、時には大がかりに手を加える。
やむを得なかったというありきたりの言い訳を口にしつつ、台所は妻から奪った領土である。奪ったからには守らなければならない。そして奪われた者の中で「新たな台所」を実現することでしか問題は解消できない。ぬか床はそんなわが家の事情の象徴となりつつある。
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タケノコ

3連敗予想だった私です^^;
俊輔は、足の甲だかのケガの影響もあったのでしょうか、Jでもキレがなかったようにも思います。もしかしたら、代表から外すかもと思っていましたが、選ばれました。ちょうど不調の波がここへ来てしまったようで不運でもありますが、守備重視となれば、やや守備力の弱い彼は外れて当然だったと思われます。直前での方向転換でここまで来れたのですから、今度は4年間みっちりやってベスト8の壁を破って欲しいですね。
奥様も退院して、実生活が始まれば、動けないなりの適応といいますか、そのような力を感じますね。今までの経験あってか、miyataさんも健闘されておりますね。後は身障や行政のサービスで利用できるものはとことん利用して、ラクしてくださいませ。
では、今日は早く寝て・・・^^
by タケノコ (2010-07-11 21:49) 

うしさん

サッカーは時々見ました
スペインのヘンディングシュートを見たのはうれしかったです。今夜も2時から見るつもりですが選挙でまあまあ納得できたので寝ます。奥様のことお一人置いて買い物にいける。これが介護者としてはうれしいですね。プランタン栽培で何かできるとうれしいですね
我が家は今ぺぱミントに成功(頂き物)が何よりうれしいです。身体障害者手帳。今は存知ませんが我が家の場合は2級で医療費無料でした。それが助かりました(最後の最高額医療の時に)
その後すぐに1級のみが無料になりました。
by うしさん (2010-07-11 23:23) 

SilverMac

天皇、皇后も生中継を見られたようですね。私は寝ていました。奥さまのことも良い方向に向かっているようで何よりです。
by SilverMac (2010-07-12 06:18) 

ほんのり

おはようございます。
新しい記事がupされたら、自宅での介護が順調に行き始めたのだろうと、楽しみにしていました。

サッカーもスペインが優勝して、パウル君凄いね。
選挙の結果も、これからの日本が良くなる材料は何もないし…

奥さまの状態が安定して来た事が何よりですね。
色々な変化が落ち着くまでに、まだ時間がかかるでしょうけど、これからがmiyataさんの疲れが出てくると想いますのでご自愛下さい。
by ほんのり (2010-07-12 06:35) 

miyata

さとまろさん、niceありがとうございます。
by miyata (2010-07-12 06:55) 

miyata

タケノコさん、おはようございます。
日本代表、なにかが崩壊していくような感じでしたから仕方ないといえば仕方ないですよね。わが家でもこれほど盛り上がらない代表って初めてだなんて話題になっていましたから。私は暇にまかせて代表のデータ分析とかをしてました(^^ゞ。すると意外に守備にそれほど大きな穴がないことに気がつきました。多くの失点は前がかりに攻撃を仕掛けた後のカウンターにやられるパターンだったのですね。これはなにかを変えればチームの立て直しは可能ではないだろうかなんて考えてました。阿部のくさびは想定できましたがさすがに本田のワントップには驚きました。
おかげさまで、女房も平安を取り戻したような日々を送ってます。だけどほんとうの事はわかりません。でも、なんとなくそう思えます。したたかに老後を送らなければと思ってます^_^;

by miyata (2010-07-12 07:13) 

miyata

うしさん、おはようございます。
うしさんもサッカーを観られるんですね。
今日、手帳を受け取りに行ってきます。何級なのかはまだわかりませんが医療費が免除されると、とてもとても助かります。この七年間、とくに仕事を辞めてからは医療費は深刻な課題でした。高額医療費の還付を受け取っても大きな負担になっていましたから。
by miyata (2010-07-12 07:19) 

miyata

SilverMacさん、おはようございます。
ええ!?天皇陛下もですか。それはちょっと驚きです。
介護生活。なんとなく、やっと辿り着いた小春日和って感じです。
by miyata (2010-07-12 07:21) 

miyata

ほんのりさん、おはようございます。
タコ君の名前はパウル君というんですね。かれは(かのじょ?)全て当てちゃったんですね。すごいです。
これがいわゆる介護なんだろうなという感じなのですが、さすがにかなり肉体労働ですね。もう少し慣れる必要がありそうです。
日本は今の情況の中に次の姿がきっとあるのだろう思います。行きつ戻りつしつつきっとそう歩んでいるのだと思います。希望を見るようにしましょう(^^)
by miyata (2010-07-12 07:37) 

hana2009

miyataさん、こんにちは。

放送時間が深夜ばかりでしたので、サッカーはほとんど見ませんでした。
しかし翌朝結果だけを知っても、当然のことながら面白さはありませんでした。
身障手帳の手続きは、これまでされていなかったのですね。
外出先で私など、どれほど恩恵にあずかった事か。
休日1000円になる前のETC割引も、随分と利用してしまいました。でもそんな事よりも通院費用の戻りが一番大きく思います。

週に一度でもディケアの利用。訪問リハも効果のあるものです。
余計な事と思いながらも、お勧めしようかと考えておりました。

プランターでのお野菜作りや、ぬか漬けなど、これでは普通の主婦顔負けです(笑)
もうベテラン主夫さんとお呼びしたい!
でも、どうかご無理はなさりませんように。
by hana2009 (2010-07-12 13:10) 

miyata

hanaさん、おはようございます。
長い一ヶ月が終わりました(苦笑)。深夜というか早朝の放映はちょうどパンツを変えたりする時間なので都合良かったのですが、その前夜に放映される番組で興奮したときには仮眠がとれなくて困りましたが充実した日々でした。
身障手帳1級の認定が下りました。窓口でいろいろ説明を受けたのですがすばらしいと思いました。こういう制度がずっと守られていくような社会であるべきだと思います。妻の障害とのひきかえで得られたわけで単純に喜ぶことは出来ませんけど、これからの妻との生活を続けていく上で大きな支えになることは間違いありません。それに引き替え、若年性認知症を介護されている方々の苦労は経済的にも精神的にもあまりにもたいへんすぎると思わざるをえませんでした。これまで私もその当事者であったわけですが、その落差に愕然としました。

ベテラン主夫といっていただいて、率直に嬉しいです。これまでの人生の中での数少ない褒め言葉の中で、一番最高です!ありがとうございます!
by miyata (2010-07-13 07:04) 

すず音

日々の介護お疲れ様です。
日本は昔から 大家族で 介護は嫁の仕事 なんていう時代は
変わりつつあるのかなと 思う今日この頃です。
生活の場が2階というのは 大変ですね。
エレベーターなんて 贅沢品も簡単にはつけられないし・・・
生活動作って 健康な時には あんまり考えないものですね。
毎日激務ですが 何とか頑張って働いています。
miyataさんも お体ご自愛ください。
マッチョな肉体になったら アップしてください。
うちのとこの 看護師は皆痩せています
by すず音 (2010-07-13 09:59) 

yakko

お早うございます。 良いですね〜 サッカーのにわかファン !!
私はあの蛸の占いがイチバン面白かったです(;゜ロ゜)
奥様の自宅療養が順調のようでなによりです。
家庭菜園やぬか漬け、スゴいですね〜 私なんか全てに手抜きで主婦失格です・・・相方が文句を言わない人なので大いに助かりますが、
反面私自身の成長がありません・・・(-.-;)y-゜゜

by yakko (2010-07-13 10:13) 

tonton

こんばんわ。

4年前のワールドカップは
彼が集中治療室で目を開けてるも斜め上を
見てる状態でした。
その目線の先に持ち込んだ小型TVを視線の先に
もって行った事を思い出します。

奥様も順調な様子でよかったです。
階段を下りて待ってる笑顔が
以前の写真の笑顔を思い出して微笑ましいです。
そして介護のコツをどんどんつかんでるmiyataさんも
すごいです。

家庭菜園とぬか床。。すごいです。


by tonton (2010-07-13 22:46) 

miyata

すず音さん、こんばんは。
すず音さんこそ、お疲れ様です。
いやあ、家族という実態はもうずいぶん前から確実に変わってしまっているでしょうね。現在というのは過去と未来の混淆状態のことをいうような気がします。
マッチョですか?二十代前半でどこかに行ってしまった私でもう見つけられません(笑)。は!!!でも、妻が戻ってからそういえば二キロほど痩せましたね。お腹がへっこんだらそうします!
by miyata (2010-07-14 01:20) 

miyata

yakkoさん、こんばんは。
にわかサッカーファンの癖に偉そうに書いてすみません(;^_^A アセアセ…
あのタコ君、すごいですね。全部当てたんですよね。
私こそ手抜きでして、そういわれると恐縮します。大海の中の小島、いや岩礁のことをさも大げさに書いてるだけです。
成長がないってそうなんでしょうか?私はyakkoさんのように写真が撮れて、簡潔でかつ十分なブログを書きたいなといつも思ってます。
by miyata (2010-07-14 01:52) 

miyata

tontonさん、こんばんは。
そうですか。四年前はそんな大変な時期だったんですね。ご主人はサッカーも大好きだったんですね。
介護はまだまだです。身体に染みこませるところまでは至りません。おりゃあ!という力業から脱却しないかぎりは駄目ですね(^^ゞ
ぬか床なんて簡単ですよ。コツは野心と助平心と独占欲。これです!
家庭菜園は、まあ時間があったということなんで(;^_^A アセアセ…
by miyata (2010-07-14 01:58) 

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