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晴れて老人の仲間入り [介護と日常]

連日猛暑が続く。17日祇園祭の鉾巡航日に長い梅雨が明けたようだが毎日のように37度をこえる日が続くのにはまいった。この間雨は一度だけ、20分ほど雷と共に滝のように落ちてきたが雨が上がると蒸気が立ち上りサウナのようになっただけだった。こんな夏は三年ほど前にもあったように思うが、気温が35度をこえるとさすがにきつい。

最近急に身体が軽くなってきた。どこかしこ張ったり痛んでいた箇所に痛みが無くなり、身体に薄皮のような筋肉の膜が一枚かぶさったような感じだ。とくに腰から臀部にかけてそれを感じる。

27日は妻の65回目の誕生日だった。これで、晴れて老人の仲間入りとなった。まだ以前のようにはじけるような笑顔を披露してはくれないが、昨年末のことを思うとこんな風な時間を一緒に過ごせるとは正直思えなかった。これは子供達も同じだった。ささやかなケーキだけを用意して誕生祝いをした。プレートの名前が「様へ」となっているのがおかしいけれどもそういうことはもう気にしない。喜んでロウソクもぜんぶ吹き消したし、久しぶりに家族四人でいろいろ談笑した。

ところで妻は少々夏ばて気味なのかもしれない。それに四日前の火曜日、シャワーの時にヘルパーさんにお尻から太ももにかかるところにすこし床ずれの徴候があると指摘された(発赤)。部位を確認するとどうやら車椅子や室内の椅子に長時間座ることによってできかけているようで、ベッドと椅子に床ずれ防止のクッションを用意しなくてはとちょっと焦っている。(その後すぐに、ヘルパーさんからケアマネに働きかけてくれていて昨日レンタル会社が試用品を持ってきてくれた。介護保険のレンタルでいけそうだ。ヘルパーさんたちにはほんとに助けられている)

NHKのETV特集で、胃ろうについての特集番組をやっていた。胃ろうを日本に広めた医師が、胃ろうから栄養をとりつつも意識もなくベッドに寝たきりになっている高齢者の姿を見て、これが人間本来の姿なのだろうかと疑問を持つところから始まる。そして、胃ろうを拒否して「自然死」として親を看取った家族の話や、さまざまな患者や家族、医師などとの対話を追っていくという内容だった(と、思う)。

私の考えは、この問題でははっきりしている。個体が生き延びられる条件を持っているかぎりは意識があろうと無かろうと医療的処置によって生き続けられる道を選択する(臓器移植の問題も含めるなら、私は消極的な否定論者である)。それが自然の順序だと考える。自然の順序は否応なく社会の順序に属する生や思想を浮き彫りにしていく。生きている意味や価値がどのように語られ、追求されようとも、生(なま)の生に向き合っている目の前の事実を社会の順序の価値観で覆い隠してはならない。ましてや医師に患者の人生の価値判断をする権利があるとはとうてい思えない。それは家族にだって同じ事だと思う。それはたんにその生の死を願っているだけにすぎない。
生きられる条件を持ち、生き延びられる処置をしたのになぜ寝たきりになってしまうのかという問いは、医学的な意味においても医療・看護体制の意味においても介護の意味においてもこの番組ではきれいに省かれていた。
胃ろう問題の特集番組を興味深く見たのは、胃ろう当事者の家族であり認知症の介護をしているからにほかならないが、死生観や死にまつわる文化論と医療の問題を安易に重ね合わせるのには違和感があった。
胃ろうは先進諸国ではほとんど行われていないのになぜ日本では多くの高齢者や寝たきりの人が胃ろうを行うのかという問いに対して、すでにある現実とその問いが出てくる背景には経済論的な問題があることは明かであろう。同時に、医療が先端の科学技術の衣装をまといながら、制度そのものであることを表している。
たまたまコーヒーを飲みに行った先で手にした週刊誌の特集が、死と医療問題であった。よりよい死とはなにかとかに、宗教哲学者・山折哲雄、よくテレビの福祉番組で見るさわやか福祉財団の理事長・堀田力他、医師、文化人、作家などがこたえていた。ここで思い出すのは後期高齢者保険制度が施行される前には、病院が高齢者のサロン化しているといったキャンペーンが盛んにはられていたことだ。山折哲雄や堀田力など、彼らは今こうした問題に答えるということはどういう事なのか、十分に自覚的であろうと思われる。その理由は、彼らが語る死生観はわれわれ庶民のささやかな希望をとりだして仮託しているにすぎないのに彼ら独自の思想を語るように見せかけているからだ。その手つきは迷える大衆を導く賢者の姿を借りながら「制度の中の死」を合目的化しようとする制度の代理人そのものである。
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退院後はじめての登場です。元気です、元気ですが一度ベッドの縁に座っていて前に転び顔をすりむきました。大事なくて良かったです。やっぱり目を離せないのは同じです。
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hana2009

こんにちは。
本当に毎日、暑いですね。
タイトルにドキッとして・・・読みはじめましたら・・・

「奥様、お誕生日おめでとうございます。」

65歳って、老人なのですか?
とてもお元気そうな良いお顔ですこと。ポーズも決まってますよ!

長時間同じ姿勢でいることによる床ずれは、経験がありますが辛いものです。
あの頃はきっと、体力も落ちていたのでしょう。
体幹でもしっかりされてくれば少しは変わってきますね。それにはやはり時間のかかること。

記事に関係ないことですけど・・・お家の中、いつも綺麗にされていますね。
miyataさんのマメな事!ぬか漬けやお野菜作りの時もそう思いました。





by hana2009 (2010-07-31 13:27) 

ほんのり

こんにちわ♪
奥さまのお元気な様子、家族の皆さんには何よりのお誕生日プレゼントですね。
改めて、「お誕生日、おめでとうございます♪」

私も「遺ろう」のNHKの番組をみました。
父の事を想い、もう3年になるのかな? 胃ろうをしてから…
色々な想いがよぎりました。
元々、初めから私とスイス妹は、反対でした。
しかし、母と亡くなった妹が、「やって欲しい!」との強い気持ちであったので、施術した訳です。

本当に、寝たままになってしまった父ですが、血色は良く、時々、痰を切る為に咳をしますが、それが痛そうです。
そんな姿を見ていて、私も疑問を持っていました。

母の興味があったのでしょう。
同じTVを見ていたそうです。 そして、「色々の意見もあるようだけど、こうやってパパと少しでも長く居られるのだから、やって良かった。」と…
母がそう想うのなら、それが一番だと自分に納得させました。

私自身の事になったら、胃ろうなどしないで、静かに、穏やかに逝きたいと想っています。
しっかり娘に言っておかなくては…


by ほんのり (2010-07-31 14:55) 

miyata

hanaさん、こんばんは。
1000niceのキリ番をありがとうございます(^^)v
65歳は年金支給年齢でもあるし、ここが老人の一年生かなと(^^ゞ
床ずれの経験があるんですね。辛いらしいですね。Alloraさんも入院でそうなったといいますし、なんとか回避したいです。

家の中がきれい!?それは大きな誤解です。私がイケメンかもしれないという誤解よりも(例えがですよ(;^_^A アセアセ…)大きな誤解です。炊事と洗濯はそこそこかなと最近は思っておりますが、掃除だけは駄目なんです。写真が隠しているだけです(__;)
by miyata (2010-07-31 19:36) 

miyata

ほんのりさん、こんばんは。
1001番目のniceありがとうございます。このブログの1番はこれまでぜんぶほんのりさんですね。感謝です。
胃ろうの番組見られたんですね。私はお母様の「少しでも長くいたい」という感じ方を支持します。医師はそれ以上の事に介入する権利はないと思うのです。出来るのは医学的見知による厳密な可能性の問題だけを判断して患者や家族に伝えることだと思っています。実は私は入院中の気管切開と胃ろうのことで医師とぶつかりました。そこで医師がだしたのが訴訟問題だったのです。「家族は今は助かって欲しいから処置をして欲しいと願うが、いったん処置をすると途中で我々は止められない。なぜなら殺人罪で訴えられるからだ。家族の側に植物人間になってもそれを背負っていく覚悟はあるのか」って、まあ話の成りゆき上でのことですけど言われたんですよ。医師の保身というか自分たちの防衛のために、まあそれは今の世の中必要なんでしょうけど、患者が生きるものも生きられなかったら救いなんてどこにもありませんでしょ。

自分だったらどうかと、今現在の自分個人として自分のことを語るならやっぱりほんのりさんと同じですけどね。だけど、その時になってみないとわからないというのが正直なところです。自分で自分の命を絶つという条件を考えてみると、やっぱり尋常ではないと思うわけで、そこのところはなかなか断定的には言えないなあというところです。
by miyata (2010-07-31 20:05) 

にこにこ

新老人は85歳です。お幸せなおすがたはいけんできました。
夫にこれだけ介護してもらえる妻が日本中にいったいどれだけいるでしょうか
阪神淡路震災のあとにひきとっていましたおばですが。10年介護?(施設)脳梗塞後は病院で肺炎の予防に鼻空栄養になりましたが本人どうしても嫌がるのです。身寄りはないので私たち兄弟が「万一誤飲が会っても決して文句は言いません本人の望むようにとお願いしましたらなんと3年、頭の位置まで固定してスプーンでナースがたべさせてくれました。
最後はあっという間になくなりましたがみんなで病院の皆様に心から感謝してみおくりました。
by にこにこ (2010-07-31 20:18) 

yakko

こんばんは。
奥様、お誕生日おめでとうございます。(*^_^*)
とてもお元気そうで嬉しいです。でも目が離せないんですね。
ご苦労は尽きませんでしょうが、ご家族揃って誕生日をお祝いされたことは何にもまして喜びですね。無事の日々が続きますように〜
by yakko (2010-07-31 21:28) 

Silvermac

65歳のお誕生日、オメデトウございます。
奥さまのお写真、お元気そうですね。私も、いわゆる学識者の言は余り信用しないようにしています。
by Silvermac (2010-08-01 05:57) 

miyata

にこにこさん、おはようございます。
新老人って区分けがあるのですか。初めて知りました。85才とはなかなかすごいですね。私の父は満60歳になる3ヶ月前に死にました。私の目標はまずこの父の年齢を超えることです。女房には女房が生きてる限り追いつけませんがひたすら伴走するのみです。
by miyata (2010-08-01 08:11) 

miyata

yakkoさん、おはようございます。
ありがとうございます。久しぶりに家族団らんで、ちょっとしんみりしてしまいました^_^; もちろん、良かったという意味でですけど。
身体が不安定な状態で目を離すと駄目ですね。でも、以前に比べると月とスッポンで穏やかな日々です。
by miyata (2010-08-01 08:14) 

miyata

SilverMacさん、おはようございます。
どうもありがとうございます。おかげさまで元気です。先日娘が仕事休みでゴロゴロしているので、ちょっと大きな声で(冗談半分ですけど)「ゴロゴロせずに洗い物くらいしろ!」って言ったら娘に「すぐに荷物をまとめなさい」と言ったそうで、大笑いしました。健在です。
by miyata (2010-08-01 08:57) 

タケノコ

床擦れはひどくなると、厄介ですね。
車いす用などは最近いいのがありそうですね。レンタルできれば
幸いですね。
胃ろうについては、当方はリハ病院の担当医(専門は内科だったか)の
リハを早く切り上げたいがゆえと思われたススメを、脳外科医の意見も同意見だったので断った経緯もあり、それが正解だったと思っています。
途中で外すことができた方はいいですが、ずっと必要な方は、介護施設や在宅等では正直けむたがられることも少なくないのが現状かと思います。
奥様、お誕生日は私と同月で近いですね。年末の容態からは想像できないほどお元気そうなお顔でなによりです。

by タケノコ (2010-08-01 21:25) 

miyata

タケノコさん、こんばんは。
床ずれはなんとか避けたいですね。車椅子用のクッションとベッド用のシートで発赤はなんとか治まっているようです。

「リハを早く切り上げたいがゆえと思われたススメ」というのは、ひどいですね。これでは治療ではなく「措置」ですよね。よく拒否されましたね。
で、NHKの番組を見てふと思ったのですが最近やけに「穏やかな死」とか「よい死に方」のような特集が多いなと思ったわけです。いやな感じがします。

おかげで元気になりました。ありがとうございます。タケノコさんも7月生まれでしたか。おめでとうございます。夏男なんですね(^^)
by miyata (2010-08-02 01:11) 

練習菌

すげー牛肉を仕入れたんだけど、涼しい山で焼かない?
8/7に鷲が岳で〜 ~ヘ(~ー~m)〜 コッチヘ オイデー...
by 練習菌 (2010-08-02 16:11) 

miyata

chihiroさん、いつもありがとうございます。
ハノイ、私も女房と一緒に行ったことがあります。暑かったでしょう。私たちも夏でした。バイクがすごいですよね。宿泊されたホテルではないホテルに泊まりラウンジにコーヒーを飲みに行きました(^_^;
水中人形劇観たり、20時間近い車の旅をしたり面白かったです。
by miyata (2010-08-03 15:59) 

miyata

練習菌さん、こんにちは。
まだお疲れのところだと思います。
鷲が岳、とても魅力的なお誘いでグラグラとしますね。娘が6日から夏休みになるので可能かと思いましたが、さっそく三日間ほど出かけるようだし、息子は陶器祭りが始まるのでやっぱり行けません(__;)(T.T)
菌さんも無理しないように、疲れを癒してきてください。帰ってきたら、ビールを飲みに行きましょう。
by miyata (2010-08-03 16:03) 

miyata

tontonさん、こんにちは。
どうもありがとうございます。
by miyata (2010-08-03 16:03) 

練習菌

出かけられませんか〜、残念です。こういうお肉だったのに〜 ↓
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2010/07/post_1560.html#more
岩手の赤牛で、未経産の雌だったんだけどねえ。2度と手に入らないかもしれないのだ〜
さて、お仕事片付けなくっちゃ〜
by 練習菌 (2010-08-04 09:55) 

miyata

おお!こ、これは(◎-◎)
む、無念・・・(;_;)
いま奥さんが、全然熱が下がらなくて今日から24時間点滴体制に突入です。今夜には訪問看護さんがきて抗生剤の交換をしてくれます。食欲はあるし大丈夫だと思ってたんですがねえ。
by miyata (2010-08-04 14:54) 

Allora

胃ろうについては詳しくは知らないのですが、本人の意思・意識(意識がある状態なら)そして家族の考えもあって、難しい判断を迫られますね。
「制度の中の死」も結局は日本という国に住んでいる以上、いやがおうにも組み込まれていて、死の前にも「医療制度」の中での治療もしくは延命措置を受ける訳で。

生きていくのも死んでいくのも、難しいことでんな。
100歳以上の所在不明者もたくさんいる事が分って、おそらく皆さん亡くっているのでしょうが、どのような逝きかただったのかと不思議に思います。

奥様は久しぶりの登場ですね。顔色も良さそうでなによりです。
床ずれだそうですが、車いすのクッションも使われてますか。クッションはかなり重要なアイテムですから、値段も安いのもありますが、そこそこの物を選ばれた方がよいと思います。
老婆心ながら最期はいらぬ一言でした、悪しからず。

by Allora (2010-08-06 21:46) 

miyata

Alloraさん、こんばんは。
>生きていくのも死んでいくのも、難しいことでんな。
ああ、まったくそうですね。
所在不明者が人や家族の口の端にも上がらなかったというのが不思議です。報道でしかわからないのですが、「わからないまま」が最も雄弁に語っているのかもしれませんね。都市伝説ではなく、現代の民話は「沈黙」の中でこそ雄弁に生きているのかもしれません。

車椅子のクッション、手に入れました!かなり良さそうなものをレンタル会社の担当者がチョイスしてきてくれました。それから、マットも床ずれ防止用に入れ替えました。それはそうと、今現在嫁さんは自宅のベッドでずっと点滴中です。今は点滴をしつつも熱が下がって元気ですけど、どうやら熱中症で脱水だったようです。24時間点滴体制は来週の月曜日まで続きます。この顛末についてはまた記事にしようと思っています。
by miyata (2010-08-07 00:28) 

miyata

tasuchanさん、こんばんは。
お礼が遅くなってしまいました。niceありがとうござます。
by miyata (2010-08-07 00:29) 

練習菌

床ずれ用の高価な軟膏が大量にあるんですけど〜
by 練習菌 (2010-09-15 10:55) 

miyata

tontonさん、こんにちは。
ありがとうございます。ところで、お元気にされていますか?
by miyata (2010-09-15 13:49) 

miyata

練習菌さん、こんにちは。
私のところは軟膏もたくさんあって用が足りているんですけど、必要な方がいるかもしれないのでしばらく手元に置いておいてはいかがでしょうか。ちょっと聞いてみます。
by miyata (2010-09-15 13:51) 

練習菌

チューブが10本以上有るでし。1本、2~3千円するらしい。
うちには使いかけの1本が有れば事足りるし、消費期限もあるしねえ。
by 練習菌 (2010-09-16 03:46) 

miyata

練習菌さん、おはようございます。
施設なんかでは薬事法の問題とかありそうです。わが家も軟膏がたくさんあるんですけど、ものを溜めるのが好きなんで預かります。
by miyata (2010-09-17 10:09) 

練習菌

ラジャ。次回にでも持って行きます。いつになるかなあ?
植物由来の成分で、穏やかな効き目だそうです。
by 練習菌 (2010-09-17 16:30) 

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