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夏を越して [介護と日常]

大腿骨骨折の手術、リハビリ病院への転院、退院以降のこれまでの経過をざっくりと書いておく。退院したのは5月2日だった。退院後すぐにケアマネさんと相談し、月二回の往診の復活、それから上の入れ歯の不具合を治すために訪問歯科医を紹介してもらって治療をした。上の入れ歯を止めていた一本の歯がほとんど死んでいるということで抜歯と言われたが、退院後まだ時間が経っていないこと、体力が戻ってないことなどから抜歯以外の方法を求めた。医師は歯を歯ぐきから切断して入れ歯を作りかえることにしてくれた。これは良かった。抜歯をすると出血が伴う。妻の体力では回復に時間がかかったと思う。入れ歯はすぐに出来てきて食べる意欲を取り戻してくれた。その後口腔ケアに歯科衛生士さんに毎週来てもらっている。

5月下旬に往診を再開してくれた医師は、手術した方の足の膝と麻痺している側の足の拘縮が進んでいることを気にかけ、リハビリを継続した方がよいと判断した。自分が属している病院にすぐ電話をしてくれ、リハビリのやり直しをすることになった。これはありがたかった。妻も嫌がるそぶりを見せることなく、再度入院することをじゅうぶんに理解していたと思う。転落事故の時リハビリで入院した病院だった。
6月の中旬、主治医から話があった。拘縮の回復は極めて難しいこと。ただリハビリを本人も嫌がってはいないが、現状維持を目標に長期入院体制をとるかどうか。病院としては受け容れる準備はある。拘縮の原因は、回復期病院でのリハビリが進まなかったことがいちばんの原因であること。その原因となったのは、膀胱炎の投薬に原因があったかもしれないという。感染症のための薬が、認知症患者にあまり良くない傾向があってそれで自分たちもずいぶん痛い目に遭ってきたという。前の病院からの薬を全部検討して、結果的にすべての投薬を止めているという。妻の表情はずいぶん豊かになっていて、少ないながらも自分から話すことも多くなっていた。とりあえず、医師の話を妻に聞かせた。元に戻るのは難しいかもしれないけど、今以上悪くなることはないらしい。そのために長く入院する必要があるらしい。このまま入院するか、家に帰るか。妻は多分理解していて一瞬考え込んだが「やっぱり帰りたい」と言ったので、その足で主治医のところに行き家に連れて帰ると告げた。医師から、家での屈伸とかストレッチ方法を教えてもらい、一日に朝・夕二回はその運動をすることと言われた。それをやっていれば極端に拘縮が進むことはないとも言われた。結局入院期間は4週間だった。

夏の対策は万全を期した。節電の呼びかけはあったものの冷房は24時間態勢をとった。脱水も熱中症も、電解質のバランスも崩すことなく夏を越した。一度だけトラブルがあった。ある日オムツを替えると出血の後があった。オムツを替えた後、娘が帰ってくるのを待って見てもらうことにした。するとさらに明らかにかなりの量の出血があった。すぐに救急車を呼び病院に連れて行った。膀胱炎だった。写真を見せてもらうと、炎症部分が剥がれ落ちるように出血したとのこと。だが、心配することはなく出血が止まれば治るということだった。二三日出血が続いたが、治まった。この出血騒ぎにはそうとう動揺させられたが、妻にとっては抱えていた病から離脱するきっかけとなった。

今年もようやく夏を越した。やれやれと思う。順調だった。食事も自分で上手に箸を使って食べられるようになった。ときにはっきりとした口調で話す時もあり、驚かされることもある。朝ベッドから起こすと決まって嬉しそうに笑う。夜寝ないで車椅子に座るとすぐに寝始めるのは玉にきずだが。
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今年の夏の記憶に。障子が同じ高さで破れているのは車椅子のせい。キュウリがずいぶんたくさん収穫できた。
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出血の影響で少し元気がなかった今年の誕生日。で、ケーキを今年はチーズケーキにしてみたらこれがおいしくてビックリ。自分の誕生日にもこのケーキにしてもらった(^^ゞ
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すず音

幸せそうな 笑顔ですね
これだけ 介護して貰って うれしくないわけがない

by すず音 (2011-10-18 02:06) 

Silvermac

薬のマイナス面(薬害)を知って使うことの重要さが分かってきました。奥さま良い笑顔です。
by Silvermac (2011-10-18 06:12) 

yakko

お早うございます。
奥様の穏やかな笑顔が良いですね〜(^ニ^)
お誕生祝いのチーズケーキが美味しそうです。
わが家はMacの糖尿でケーキ類も遠ざかっています・・・f(^ー^;
by yakko (2011-10-18 09:17) 

hana2011

miyataさん、こんにちは。
奥様のお誕生日、おめでとうございます。
和やかな表情で、ほっぺの辺りがふっくら、少し太られましたか。
読んでいて、家でこうしてお誕生日が無事に迎えられるのは何よりの事と思いました。
病をえてしまった私たち。
通所しているディケアのOTさんによりますと・・・とにかく現状維持で!
元の生活に戻していくには、相当な根気と努力が必要との事。
これから先も、自分の身体と上手に付き合っていくしかないようです。それには焦らず、あきらめずなのでしょうね。

by hana2011 (2011-10-18 13:05) 

tami

とてもステキな写真ですね。
窓から見えるキュウリの緑と陽の光、そして奥様の笑顔。
by tami (2011-10-18 20:39) 

tonton

こんばんわ。
イロイロの後で奥様元気が無かったんですね。。。
でも今は元気になってよかったです。

それにしても・・・奥様肌が・・・
キレイすぎる!うらやましい!

by tonton (2011-10-19 00:33) 

miyata

すず音さん、こんにちは。
もっとやろう、やらねばとかの気持ちがないといいますか、夫婦のように(夫婦なんですけど)つかず離れずいる感じでこのまま過ごせたらと思います。
by miyata (2011-10-19 12:42) 

miyata

SilverMacさん、こんにちは。
薬は怖いですね。バルーンを長く入れすぎていたのが膀胱炎の原因で、炎症を抑える薬が意識の低下を招いてリハビリが進まなかったということらしいです。
by miyata (2011-10-19 12:45) 

miyata

yakkoさん、こんにちは。
ありがとうございます。このチーズケーキがおいしくて、自分の糖尿も顧みず頂きました〜(;^_^A アセアセ…
by miyata (2011-10-19 12:46) 

miyata

hanaさん、こんにちは。
この時の妻は、おそらく顔がかなりむくんでいたのだと思います。たくさん水分をとらせなさいということで、飲ませていましたから。
焦らず、あきらめず。ですね。昨日ヘルパーさんからうれしいことを聞きました。事務所で妻が話題になったというのです。だれもあそこまで回復するとは思ってなかったと。壊れたところは戻らないけどシナプスが別の経路を作り始めたんではないかと。普通、脳血管性認知症は階段状に悪くなっていくのでだいたい介助に入って三年くらいで前が想像できないくらい全部が悪くなるのだそうです。そのてん、うちの場合確かに怪我などもありはるかに悪くなっているのですけど、そう思えないくらいはっきりしてきたというんです。ちょっとうれしかったです。
by miyata (2011-10-19 12:54) 

miyata

chihiroさん、ありがとうございます。

by miyata (2011-10-19 12:55) 

miyata

tamiさん、こんにちは。
写真事をほめられると照れますね(^_^;
デイケアに出かけてポッカリと空いた寝室とベッドを戯れに撮ってみました。
by miyata (2011-10-19 12:56) 

miyata

tontonさん、こんにちは。
そう、今は元気です。ありがとうございます。
肌がきれいだとは良くいわれます。あまり意味がよくわからないのですが、ほめられると妻も悪い気がしないようでニヤッと笑います(爆)。
by miyata (2011-10-19 12:58) 

Allora

大変な夏を過ごされていたんですね。
これではブログの更新どころじゃないですね、でも出血のトラブルも収まり
写真を拝見しても、しっかりなさってる様子で良かったです。

miyataさん御自身も、どうぞ御自愛下さい。
by Allora (2011-10-20 22:19) 

ミッチー

心を込めて娘さんと介護なさるお姿になみだぐんでしまいました。
在宅介護をしている方は多いですが、文句言い言い「介護認定を受けませんかといいますと。なぜかそれはなさらない?
子供たちの航空料金だってたいへん?
決定は本人なのですが
我が家は介護保険が始まった日から認定は受けてつかわなかっただけでした。使いまじめて。近所に隠すこともなく。私が出勤しましてから通所リハのお迎えは近所の方が見送ってくださったり。なにやら本位に持たせて私の携帯で帰宅時間は今どこってわかるのです。

前向きの利用することこれは大切でした。

まだまだショートステイ。たった5日でも内服のステロイドが余っていたり。他の方の睡眠剤が混じっていたり。
急いで速達で送りますと。

そんなにあわてなくても困らなかったのに?
本人がショートステイへ行っっているときに私が訪問したら、職員の責任者からいったい。いつホスピスに入るのですか癌があったが本人は理解できなかったので末期とは言わなかった)
一番悲しかったのは
「若い職員が癌がかわいそうで介護ができないと言う」これにはまいりました。
by ミッチー (2011-10-21 17:43) 

miyata

Alloraさん、こんばんは。
文章をまとめてから書くという作業が自分には負担が大きすぎたということにつきます。もっと突きはなしてメモ的に日常を綴れたならいいのでしょうけどねえ。とにかく文章を書くのが嫌いなんです(苦笑)。
by miyata (2011-10-23 17:39) 

miyata

ミッチーさん、こんばんは。
利用できる制度は利用した方がいいですね。若い職員さん、優しい方だったのでしょうけど、まいったというのは良くわかります。しかし、お仕事を続けながらの御看病、さぞ大変だったことでしょう。私は続けられませんでした。
by miyata (2011-10-23 17:43) 

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