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よいお年を。 [介護と日常]

今年五月かなり苦労してパソコンを新調した。少し長い文章(ブログ)を書いてみたいと思ったからだが、自分で改造したおそらく元は台所跡であろう物置だった小部屋に置かれた真新しいモニターの前に座るととっくの昔に底が抜けたザルのようになっている自分と出会っただけだった。
表向きは前よりずっと淡々と暮らしている。だが、日々日常の生活が言葉で語る平坦なままであるはずがない。

何げなく通り過ぎてしまうことに立ち止まる。きっと、もうそんなことしかできない。だから厭わずに立ち止まるようにと自分に言い聞かせている。が、それもなかなか難しい。

老いたという実感は実はさほどない。身体の動きを除けば。だが、どこかに向けて歩きはじめている気がする。つまり、立ち止まることができる道にいるわけだが行き先はない。

食べることも話すことも動くこともできない妻との生活は変わらず続いている。妻も自分が元の姿に戻れることはないとおそらく自覚している。その現実を引き受けることも生きることだと言っているようにみえる。そこがきっと私との交点だろう。一日の大半を目を閉じて過ごす妻とはもうわずかな時間の間でしか出会えない。だけど、こんな日々がまだ続くことを願っている。

前にここで年越しの挨拶をしてから二年が経っていた。短くはない時間だった。明るい希望や未来では表せないような世界の入り口に、いやもう引き返せない世界を歩んでいるのかもしれない。それでも、ふと見過ごしてしまうかのような何げない仕草や吹きすぎる風に気づく場所があれば、そこが私たちの橋頭堡になるだろう。

心安らかな年が明けますように。よいお年を。

※SilverMacさんが亡くなられていたことを知った。なんといううかつ。今は言葉もない。ご冥福をお祈りします。
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